■技術の進化 5 アナログからデジタルへ (No.619)
技術の進化をいろいろ述べてきているが,その基本になる大元にあるのが,デジタル技術によるものである。AI,携帯電話などデジタル技術が不可欠な存在であるには違いない。
アナログからデジタルへ
アナログからデジタル化への動きは到る所で起こっている。時代の流れと云えばそれまでだが,我々の生活を大きく変える要因になっている。
○テレビ(アナログ放送からデジタル放送へ)
身近なものはテレビ放送で,当初はアナログのテレビ放送であったが,放送電波の周波数帯の混雑により,デジタル化することにより周波数の有効利用が進むことで,デジタル放送に切換が行われ,2011年7月をもってアナログ放送が終了,地上デジタル放送が完全に切り替わった。
受像器の買い換えなどの必要性はあったが,電波障害やノイズなどによりアナログ放送では画像の乱れやゴースト(画像が2重になるなどの障害)が起こったが,デジタル化により鮮明な画像が提供されるようになった。さらには,ハイビジョンや昨今の4K,8Kテレビなどへと発展してきている。
また,DVDレコーダにより,鮮明な録画ができるようになり,好きな時間にいつでも観られるようになり,時間を有効利用できるようにも変わってきている。
○音楽(レコードからCDへ)
音楽に於いても,以前はレコードで音楽を楽しんでいたが,今では殆ど見られなく,CDに代わってしまっている。レコードの溝を針が拾って音を出す音は,デジタルとは違った深みがあり味わいが違うと,未だにレコードを愛用する人は居る。音楽マニアにはそうした人が残っているが,多くの人は便利なCDを利用している。
デジタルであるCDは,連続的な音の変化をサンプリングと云って,細かく切り取って音を再現している。つまり,この細かい切り方(44.1kHz)で可聴周波数を再現させて,人の耳には同じ音(可聴周波数が20kHz)と感じさせているのである。これは,サンプリングレートを上げればより音の再現が可能だが,大きくすると逆に負荷が掛かり過ぎて,処理が遅くなり,或いは逆に音が歪むなどの欠点もあり,CDとして適切なサンプリングレートが決められている。
ただ,音楽マニアにとっては,サンプリングされた音と実際の音とには,可聴周波数を超えた音にも味わいが含まれているようで,アナログレコードを愛する人が居るのである。
○カメラ(フィルムからメモリへ)
カメラも大きく変化した。カメラと云えばフィルムに映像を撮して,現像してもらって引き延ばしプリントアウトされるものだった。これもフィルムで撮ったものは,35mm版で十分大きく引き伸ばすことも可能で,プロは120フィルムと云って,カメラによって違うが,6×4.5,6×6,6×9などと云ったサイズのフィルムで,より精細な画像を求めていた。他には,写真屋が集合写真などで使う,1枚毎のシートフィルムもあった。
カメラで撮る映像は,同じ被写体でもシャッタースピードと絞りの違いで,映り具合が大きく違い,マニアにはその違いをどれだけ活かしたものが撮れるかが腕の見せ所だった。35mm版は24枚と36枚とフィルム当たりの制限があり,被写体を十分狙って慎重に撮るのが一般的だった。
しかし,今は一部のマニアを除き,デジタルカメラである。私自身も,随分フィルムカメラにお世話になったが,今ではデジタルカメラ一辺倒である。SDカードに思う存分蓄えられ,好きな画像のみをプリントアウトすれば良い。一度撮影に出掛けると,200〜300枚は撮って帰ってきて,パソコンの保存している。
取り込み後の修正も,いろいろな優秀なソフトがあり,見た目以上の色合いを再現してくれるものもあり,重宝している。とにかく,フィルムでのカメラ店での引き伸ばし依頼と違って,自宅で好みのものだけをプリントアウトできる。しかも最近のプリンタは,カメラ店でのプリントと優劣の差の見分けが付かないほどきれいにできあがる。
私自身,趣味の一つのカメラは,デジカメ一眼レフの愛好家である。
○書籍(本から電子書籍へ)
本にもデジタル化の波は押し寄せている。まだまだ,本屋で本棚から書籍を選ぶ楽しみは多いが,昨今,電子書籍も流行ってきている。私自身,電子書籍はまだまだ抵抗があり,手に取った本で読書をすることに馴染みがある。
ただ,これも時代の流れなので,電子書籍の普及もどんどん進むだろうと思われる。
デジタル化のメリット
アナログとデジタルの言葉は知っていても,詳しい内容は知らないと云う人も多い。易しく言えば,アナログは連続的な変化に対して,デジタルは断続的な変化である。謂わば,アナログが連続的な坂道に対して,デジタルは断続的な階段で,一段一段の区別があると云った違いである。また,時計のようにアナログは指針の角度で示されるのに対して,デジタルは数字で示される。
デジタル化のメリットは,記録が容易で,劣化が無いことやネットワークでいろいろなことができることである。また,写真のようにコストメリットも大きく,且つ加工も容易である。
デジタル化で我々の生活が大きく変わってきている
[Reported by H.Nishimura 2019.03.04]
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