■技術の進化 (No.612)
技術の進化は留まるところを知らない。次から次へと新しい技術が生まれている。有名だったのがムーアの法則で,「半導体の集積率は18カ月で2倍になる」と云うもので,半導体の微細化技術の進展を予測したものだった。これにもすでに限界が来ており,この法則を当て嵌めることはできないようである。
ネット社会の進化
何よりも進化が著しいと感じるのが,ネット社会の拡がりである。インターネットに触れた20世紀末,世界への拡がりに驚きを感じはしたが,今日のような普及が来るとはなかなか予想ができなかった。確かに,パソコンと云う今までにないものを通じて,コンピュータの世界がどんどん拡がって行くだろうとは感じたが,ここまで必要不可欠なものになるとは想像もしなかったのが正直なところである。
あれよあれよと,インターネットが拡がり,コンピュータのスピードの上がり,国民の大多数が利用する世界になってしまっている。我々の世代では,未だパソコンを自由自在に操れる人は少ない。せいぜいメールなどに利用したり,書類や計算をまとめるのに使ったり,と云う程度の使い方であった。ところが,携帯電話の進化が一段と進み,従来の通話やメールのやりとりから,スマートフォンの出現で,パソコン機能と変わらない使い方へと変わりつつある。
年輩者はパソコンは使えないと思っているが,スマホを利用して,いつの間にかネット社会の利用をしていると云う人が多い。それほどフレンドリーに利用できるようになってしまったのである。私自身はパソコンがある程度使えるので,携帯は電話やメールを中心のガラケーで十分だと感じていたが,仲間がスマホを利用して連絡をし合うようになった今日,パソコンとガラケーでは対応できず,1年前からスマホを利用したやりとりになったきている。
特に,LINEのアプリを通じた仲間同士のやりとりは,ネット社会の一段と進んだ局面を感じている。つまり,文字だけでなく,映像を通じたやり取りが誰でも容易に可能だし,その双方向性のスピード感あるやりとり,更には,同時に複数の人とチャットしているかのような同時性は,これまでのパソコンやガラケーではできなかったものであり,十二分に活用している。しかも,その仲間の多くが,パソコンはなかなか使いこなせないで,メール程度しか,と言っていた人達である。
私自身まだまだスマホの利用歴も浅く,使いこなすどころか,まだまだ判らないことの方が多い状態であるが,スマホの奥深さはしみじみと感じられるところがある。機能の奥深さを追求することもさることながら,技術にはどちらかと云えば疎い人でも,扱いに少し慣れれば,自由に使いこなせるようになるアプリの素晴らしさにも感心させられる。だからこそ,ここまでスマホが普及しているのだろうと感じてならない。
技術の進化は,この誰もが容易に扱えるものにすることが非常に大切なものである。技術的に深く未知の領域を極めることも必要なことであるが,それ以上に,誰もが利用できる,フレンドリーな技術を提供することも重要なことで,スマホは,それを実現している。(もちろん,スマホにはそれを利用したアプリケーションが伴ってのことであるが・・・。)
自動車の進化
自動車の進化も著しい。特に,機械中心の自動車が,いつの間にかエレクトロニクスの塊のようになってきている。自動車のエレクトロニクス化は電気自動車への変化と共に,ガソリン車からハイブリッド車,そして完全な電気自動車へと移り変わりつつある。もちろん,総てが電気自動車に変わるには,まだまだ歳月が必要だが,その方向性は間違いない。
機械屋中心の自動車業界が,電気屋中心の世界へと。と云っても,純粋な昔の電気屋ではなく,電気・電子・通信・ソフト技術と複合した技術屋集団が大きな位置を占めてきている。もちろん,自動車は動くものであるから,機械系の技術が重要なことには変わりない。
ただ,自動車が単なる動く手段から,ネット社会の中に組み込まれた,情報伝達手段という要素も大きく入り込んできている。自動運転化技術の開発などを見ていると,益々人が自由に操る車(自動車)から,レールは無いにしても,軌道(道路)を走る電車のごとき,乗車するだけのものへと進化し続ける可能性が大きいようにも見える。
GPSからの情報制御はもちろん,ネット社会の中で,人が自らの手足を使って動かすのではなく,行き先を指示するだけでAIによって自動走行してくれる乗り物へと進化する時代は,もうすぐそこにやってくるのではなかろうか?
技術の進化は留まるところを知らない
[Reported by H.Nishimura 2019.01.14]
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