■技術者の眼 13 自然災害 (No.595)
今週は台風21号が関西を襲い,すぐさま6日には北海道で震度7に達する地震が発生し,被害が拡大している。自然災害は不可避なものであるが,最近は多すぎる感じがする。先日の西日本の豪雨災害に引き続き,日本列島は自然災害に見舞われた年である。
初めての強風体験
今年に入って3回目の台風が関西を襲った。強い台風との予測報道にやや甘く見ていた。これまでの経験から,台風が直撃したとしてもそれほど被害が出ずに終わっていたことが多かったので,今回もいつも通りに過ぎ去るものとたかを括っていた。予想進路から直撃は免れないとは判っていたが,前回の台風も,室戸岬付近から徳島,淡路島,兵庫と抜け,そのコースを辿るように今回の21号の進路も想定されていた。
当日の午前中は,これで台風が近づいてきているのか?と疑いを持ちたくなるような,晴天だった。暴風域が小さいとは聞いていたが,午後に入るまでは全く気配もなく,午後に入ってようやく風雨が出てきた。14時前から急に風雨が強くなり出し,暴風雨に変わった。木々は葉がちぎれるほどしなり,風の勢いは今まで経験したことの無いほどの強さとなり,家がきしむような音がしていた。
時々,ガシャンと云うような音もしていたが,何がどうなったか確認することもできない有様だった。2階はすべて雨戸やシャッターを下ろし,1階も雨戸を閉めたが,その隙間から外を覗くと,うなりを上げた風が異様な体をなして木々をゆらしていた。日よけにしていた2階まで伸びたゴーヤは風で押しやられ,半分程度に圧縮されながら何とか持ち堪えていた。
子供の頃,伊勢湾台風や第二室戸台風を経験したが,通過したのが夜中だったことや記憶が薄れていたこともあり,強風の凄さは今まで経験したものでは無かった。
被害の状況
台風の暴風域から逃れ,止み間に外へ出ると,近所の人々も出てきて,木の葉や並板の飛び交った後始末をし始めていた。自宅は菊の鉢の数本が折れたり,ゴーヤがかなり損傷を受けたが,それ以外の被害は殆ど無かった。近所の被害では,屋根瓦が一部飛ばされたり,2階のベランダに備えた並板の殆どが飛ばされてしまったようである。
しかし,テレビで大阪での被害映像を見せつけられると,強風の凄さは眼を覆いたくなるようで,トラックなどが軽々と風に飛ばされ,転がって行く有様は,映画のワンシーンを思わせるようなものだった。それらの多くの映像が,視聴者が提供されたもので,スマホなどで容易に映像が撮れることが,決定的な瞬間を捉えたものだった。
翌日以降の新聞やインターネットからの情報では,重要文化財の被害も多く,また大きな老木の倒壊など,今回の台風の凄さを見せつけられるものが多かった。
地震の被害の凄さ
2日後に起こった北海道の地震も報道で見る限り酷いものだった。特に,木々のずり落ちた後の山肌の露出した箇所の多いことには驚かされた。専門家によれば,火山灰などが積もったところに生えた木々の層が,脆く崩れてしまったようであるが,あれほどの姿になると誰が予測しただろうか?何か不思議にも,米国のグランドキャニオンを思い起こさせられるような映像だった。
以前の写真と比較した映像もあったが,想像以上の衝撃的な姿が映し出されていた。自然の脅威と云えばそれまでだが,我々の想像以上のできごとが,いとも簡単に起こる今日の有様は,豊かな我々の生活に神様が警鐘を鳴らしているようにも見える。
さいごに
以上のような自然災害は被害を最小に抑えることは重要なことではあるが,予想を遙かに超えた自然の脅威には抗えない不可避なものであることをしみじみと感じさせられた。被害に遭われた方々にはたいへん辛い思いをされていると,気の毒に感じることしかできないでいる。異常気象だと自然の振る舞いを抑制できない人間社会であるが,何らかの科学的対応策が講じられることを願うばかりである。
ただ自然災害をよくよく反省してみると,自然災害以外の被害,今回のことで云えば,関西空港に8000人もの人が閉じこめられたことや,地震でのブラックアウトによる大停電など人為的なことで回避できた被害が大きかったことがある。こうした被害については冷静に反省し,二度と起こらないように対策をし,また起こった地域だけでなく同じようなことが起こる可能性のあるところでは,予め対策をすることが重要である。自然災害の被害拡大させないために!!
自然の脅威におののく!!
[Reported by H.Nishimura 2018.09.10]
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