■技術者の眼 1 スマホの功罪  (No.577)

携帯電話がいつの間にかスマートフォンに置き換わってしまっている。電車などで見る光景は,殆どの人が,スマホを触っていることである。まるで,スマホ中毒になってしまったかのように見えてならない。

  スマホデビュー

私自身がスマホを持ったのは,4カ月前のことである。随分遅れたものである。私たちの年代の同窓生の集いでも,ガラケーを未だに持っているのは少数派で,殆どがスマホである。特に,女性の方が変化が早いようである。実は私自身も,スマホに積極的に変えるつもりは全くなかった。身近な連絡はガラケーの電話とメールで十分だったし,必要な情報はパソコンで得られるので,それほど不便は感じていなかった。仲間がラインをして繋がっているのは知っていたが,だからといってのけ者にされている訳でもなく,必要な連絡は取れていた。

実は私がスマホに代えようとしたのは,女房がスマホに代えたいことが切っ掛けだった。女房の仲間の連絡網がラインが主体となり,ガラケーでは不便になったため,替え時でもあったので,ガラケーからスマホに切り替えることにしたのだった。そのことにつられて,私自身のガラケーも一緒に同じスマホに代えることにした。同じものにしたのは,女房の使い方で判らないことが一杯出てくることを予測し,同じ物であれば,対応ができるからとの判断で,それは間違いではなかった。

スマホに代えてみると,最初は使い勝手がよく判らず,電話対応やメール,さらにはラインと悪戦苦闘しながらも,ようやく使いこなせるようになってきている。

  スマホの便利さ

スマホを未だそれほど使いこなしている訳ではないが,便利なところはいろいろある。パソコンと同じような働きをするが,パソコンに比べ立ち上がりが早く,即座に情報を得ることが可能である。また,パソコンで得られるような情報は,殆どスマホで代用できる。だから,パソコンを常時使っていないような人には,スマホで十分対応が可能である。むしろ,スマホの方が便利かも知れない。

写真も殆どデジタルカメラと同じような働きをし,バカチョンのデジタルカメラを駆逐してしまっているのも頷ける。画素数も十分で,デジカメの代用には十分である。しかも,仲間とのつながりで,写真をやりとりすることには,何一つ不自由のないものになってしまっている。だから,文字だけでなく写真を通じての伝達が非常に優れていると言って良い。

もちろん,持ち運びには便利だし,パソコンを持ち歩く必要が無いくらいである。携帯電話と云うより,小型パソコンを持ち歩いていると云っても良いし,ネットには何処にいても繋がる便利さである。

  スマホの欠点

ただ,便利なツールとはいえ,欠点が無いわけではない。その中で,一番気になるのは,電車などで見られるスマホ中毒と思われるほど,常にスマホに向かっている人達である。電車の中での状態から想像するに,一日何時間スマホを使っているのだろうか?と心配になってくる。確かに,テレビのように受け身で流れてくるものを見ているのではなく,常に自分の見たい物を探しながら見ているのだが,嵌ってしまうと時間の経つのを忘れて,スマホにどっぷり浸かってしまっていないだろうか?

テレビでも云われたが,テレビを見てばかりいて,一億総白痴化と言われたことがあったが,昨今の状態を見ていると,常に肌身離さずの状態であって,テレビよりも酷く,殆ど考えようとする時間が無くなってしまっている。このことを指摘する報道もあるが,殆どの人が気づいているのか居ないのか,スマホが普及してからはスマホにどっぷり浸かってしまっている人が多い。

要は一番悪いのは,一日24時間しかないのに,かなりの時間をスマホに使ってしまっていることである。我々の年輩者はともかく,若い世代には,自分の頭で考え悩み,それを経験することで知識や知恵となって,それからの生活を豊かにすることが必要なことであるのに,ただ情報に流されて時を過ごして行くと云う末恐ろしい若者が増えていることである。

ラインも情報共有と云う点では非常にすぐれているが,しかし,これも仲間とグループを形成していると,ひっきりなしにラインが鳴り響いている。つまらないと云うと発信者には失礼だが,要らないような情報も飛び込んでくる。便利なツールだからこその弊害である。もちろん,拒否すれば良いのだが,なかなか仲間から外れることも容易ではない。むしろ,要らない情報を無視して過ごすことになっている。

私などは最低限必要なことにしか使っていないので,費用もそれほど掛かっていないが,ヘビーなユーザーになってしまうと,スマホの使用料金もバカにはできない金額に膨らむリスクを孕んでいる。また,情報活用にお金を払っていることに無頓着な人も多い。最近のものは多少お金が掛かるものだと割り切っているのか,知らなすぎるのか,とにかくお金の無駄遣いである。

スマホは自制することを忘れさせてしまう恐ろしさがある。スマホ中毒である。便利なツールであるだけに,有効活用できるような世の中にしたいものである。

スマホは上手に使って,自分の頭で考える訓練を!!

 

[Reported by H.Nishimura 2018.04.30]


Copyright (C)2018  Hitoshi Nishimura