■実家売買顛末記 2  (No.573)

私の実家の売買の続き

  売り家に出す

実家を手放すことに決めたら,じっとしていても何も起こらないので,先ず実家の近くで司法書士をやっている友人に相談し,近くの不動産業者を紹介して貰い,売買の相談に行った。そこで,先ずは隣に買ってもらうのが一番とのことで,不動産業者を通じて実家の実態を見に来られたが,予想に反したのか,値段が折り合わなかったのか,商談は不成立だった。

続いて,その不動産業者が実家を取り壊し,裏にある田んぼに,数件の家を建てる青写真を作られ見せられて見積もられた結果,こちらの足元を見られたのか,足が出ないまでも,ほとんどプラスマイナス0に限りなく近く,土地の相場の値段から算出しても割が合わなくお断りした。高く買ってもらうに越したことは無いが,急いで売ってしまわれたと噂されることも耐え難く,総合的な判断だった。

そうは云ってもこちらとしては何とかしたいので,ネット情報など調査していたが,新聞受けの折込のチラシが入っていた中で,大きな不動産業者があり,そこに依頼することに決めた。担当者は親切丁寧で,実家のような旧家を好む人もいるので,土地の値段で価格をつけて,売り出したらとの提案を受け,田んぼの土地の価格は外して,宅地分の時価で売り出すことにした。そうすると,2,3人の人が興味本位で見に来られたが,どうも同じような物件を2,3件比較されているような様子で,見に来られただけで全く話が進まなかった。

そうして1年以上が過ぎ,このままでは周りの空き家もどんどん増え,売却する機会を逃してしまうことを恐れ,思い切って宅地の時価から実家の取り壊し費用を差し引いた額で売り出すことに決めた。このとき,徐々に金額を下げ,買い手を探す選択もあったが,徐々に下げて行くとまだまだ下がると買い手有利の状況を作り出し,いつまでも売れない危険性もあることを承知していたので,宅地の時価から取り壊し費用を引いた額にすると腹を括った。

母屋は木造の平屋建てだが,実際には二階にも二部屋増築しており,さらに二階建ての蔵(土蔵)と小屋があり,普通の家の3倍程度の取り壊し費用が掛かる推測だったので,当初の売り出し価格からは半減した価格になった。取り壊して更地にして売り出す方法もあるが,更地にしたからと云って直ぐに買い手が付くような場所柄でもないので,論理的な数値から割り出した価格であり,一見早まって安売りに出されたとの噂が立つかも知れないと思ったが,私としては十分納得できる価格提示だと思っていた。それでも,最初の不動産業者の見積よりは取り分として多かった。

  買い手が見つかる

売り出し価格ダウンが効いたのか,買いたいと云う人が現れた。最初の人は,実家のような古民家に興味があり,リフォームして住みやすいようにしたいと,古い家具などはそのまま活用したいとのことだった。実家を取り壊されるよりもそのまま活用して頂く方がこちらも歓迎で,先方も非常に乗り気で,二度にわたり見に来られた。もちろん,他のところと比較されていたのだと想像する。しかし,買い手のリフォームしたい思いが結構大胆で,見積されたようだが,リフォーム費用が予算をかなりオーバーすることが判明し,惜しみながらも断念されることになった。

このような古民家を求め,田舎に住みたいと思っておられる人が居ることを改めて知った。こういう人が我が家に住んで頂けるのであれば大歓迎で,女房共々折角の機会だったのに,何とかならなかったのだろうか,と悔しい思いだけが残った。リフォーム費用が掛かりすぎと云って,実家の売却価格をこれ以上下げる訳にも行かず,新たな人の出現を待つしかなかった。

引き続き,次の買い手が直ぐ現れた。この買い手は小さいながらも不動産業を営まれ,賃貸物件として幾つかのところを扱っておられ,当初の価格のときも一度見に来られていたようであった。後から聞いた話であるが,昔の古い頑丈な木で作られたものに関心が高く,現在ではこのような木を使って自家用の家を建てることは無く,海外から輸入した木材などの新建材が使われ,貴重なものだとのことであった。

また,実家には整理していない物が一杯残っており,そのままの状態で売却するとなれば,その撤去費用を差し引いた価格ダウンで契約したいとのことだった。その方法も一案だったが,撤去費用も予想以上の金額だったので,知人の業者に頼んで,こちらで撤去する方法で落ち着いた。

最終的にどのようにされるかは,買い手側の判断に依るが,一応今の実家をリフォームして賃貸するなどを計画されているとのことだった。とにかく,買い手が決まったことで仮契約を済ませるところまで漕ぎつけ一安心したが,未だ大きな課題が残っていた。

(続く)

売りに出しても,直ぐ買い手が見つかる状況ではない

こちらの思いに合致する買い手が現れるのを待つしかなかった

 

[Reported by H.Nishimura 2018.04.02]


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