■夏の甲子園,念願の初勝利 (No.541)
母校,彦根東高等学校が甲子園で念願の初勝利を収めた。
第一試合に登場
開会式直後の第一試合に決まり,アルプスの応援席は開会式からゆったりと見られることになった。朝6時過ぎに自宅を出発,甲子園には7時30分前に着いた。同窓の仲間と8時に合流し,応援席へ。開会式が9時からとあって,未だパラパラとした状況だった。彦根から在校生始め,応援する人がバス53台を連ねてやってきたそうである。
開会式の前にはバスも到着,在校生の群団が予め予約席として取られていた一角を一気に詰める。甲子園では有名になってきた真っ赤なシャツを着た群団で,あっと言う間に一塁側のアルプススタンドは真っ赤に染まる。私たちの同窓生も,一日順延になったので,平日で都合の付かなくなった人も居たようだが,大勢,ざっと50人程度は駆けつけたようである。
もちろん,開会式を生で見るのは始めてで,国旗,大会旗を先頭に入場行進が始まる。昨年度優勝校の作新学院を先頭に,北から順に出場校の行進で,一塁側アルプス席の前を行進して,グランドを一週近く行進し,センター付近で全校が揃い,そこから一斉にホームベースに向かって行進する姿は圧巻であった。
開会式の挨拶はやや長く,もう少し簡潔にした方が,選手にとっても,観客にとっても良く,間延び感が強かった。それと比較すると,選手宣誓は,落ち着いてしっかりとした口調で,さわやかだった。選手が一塁側へ退場し,開会式は終わり,第一試合の両校の簡単なグランド練習が終わり,9時に第一試合が始まった。
試合開始には,恒例の始球式が行われ,空からヘリコプターが始球式のボールを落とし,浜風も計算した上で,練習もされたのか,見事グランドのど真ん中2塁ベースの直ぐ近くに落とされ,長島三奈さんのダイナミックな投球姿に一同がドッと沸いた。
サヨナラ勝ちで初勝利
相手は波佐見高等学校(長崎)で,公立高校同士の戦いとなった。相手の波佐見は小学校,中学校と軟式野球で全国制覇したメンバーが最高学年となった年で,優勝も狙う強豪校との評判だった。試合は緊迫した好ゲームで,2回に相手4番に弾丸ラーナーのホームランを献上。スタンドで見ていても,あれがホームランになるのかと云うような低い弾道で,甲子園第一号を放たれた。
その裏,こちらもスキを付いたような攻撃で,無死満塁のチャンスを作り,同点に追いついた。しかし,すぐさま,1点を献上し,先行を許したが,こちらも反撃,6番バッターのレフトポールを巻く3ランで4対2と逆転する。スタンドの盛り上がりはすごく,約5000人と思われるスタンドの応援団は歓喜に包まれた。4,5回は三者凡退ねど,こちらに流れが来たような感じがしていた。
しかし,流石の強豪で,6回に1点差に追いつめられ,まだまだ行けるとの応援も,7回に4番打者にタームリーヒットを打たれ,4対5とひっくり返される。真っ赤に染まった応援席からは,何とか逆転をと願う声援が選手を後押ししていた。
その応援に応えたのが最終回。先頭のピンチヒッターがセンター前にヒットを打つと,確実なバンドで2塁へ進める。一打同点の場面で,センターへヒットを打つ。同点だと沸く観客席だが,3塁コーチャーがセンターのバックホームを見て制止する。きわどいタイミングでの判断だった。1アウト,1,3塁。ヒットが出れば同点だが,内野ゴロであれば,ダブルプレーでゲームセットと云う瀬戸際で,ここで母校のいつも行っていると云う,頭脳プレイが敢行される。
ダブルプレーを免れるために,1塁ランナーを走らせ,ゴロを転がす。ダブルプレイは採れず,バッタのみアウトで,3塁ランナーは同点のホームイン,2塁にサヨナラのランナーが残る。行き詰まる熱戦で,相手のピッチャーも130球を投げており,これも通常通りだそうだが,継投策に出る。最初の打者にストレートの四球を与え,動揺している次の初球を1,2塁間を抜くヒット。今度は,2塁ランナーも3塁を蹴ってホームへ。ライトから好返球が返ってきたが,間一髪セーフ。サヨナラ勝ち。
応援席の盛り上がりは最高潮で,サヨナラ勝ち,甲子園初勝利を応援席全員が味わった,心地好い瞬間だった。
応援の雰囲気
いつものことながら,誰にとっても,出身県の学校を応援する気持は皆同じである。特に,母校が出場するとなると,その応援にも熱が入る。まして,母校のように,なかなか甲子園へ出られず,未だ甲子園で春・夏通じて一勝もできていない学校にとっては,甲子園での初勝利が念願である。
今年のチームは,近畿大会においても,強豪の平安を破り,大阪桐蔭をも9回まで追いつめ,9回に残念ながら逆転を許したチームで,滋賀県でも滋賀学園,八幡商業,近江と甲子園出場校を次々破って出場を勝ち取ったのである。我々の高校時代からは想像もつかない強いチームになっている。もちろん,伝統の文武両道は貫かれており,応援する卒業生も伝統である「赤鬼魂」を心の奥底に抱いている。
赤一色に染まるプロ野球の広島カープではないが,「赤鬼魂」と書かれた真っ赤なTシャツに,赤の帽子,赤の団扇,赤のタオルと応援グッズも揃っている。応援団やチアガールの拍子に合わせ,攻撃には立ち上がって声援を送る。高校野球ならではの雰囲気である。私は,同窓生のホームページも受け持っているので,カメラマンも兼ねて応援していた。勝利に酔いしれる感動を味わった一日であった。
野球の実況中継並になったが,素晴らしい感動をもらった一日であった
[Reported by H.Nishimura 2017.08.14]
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