■集中力を高める 2 (No.528)
集中力を高めることについて続きを述べる。
興味を抱く
物事に集中すると云うことは,それに興味を持っていることである。興味と言えなくとも,非常に関心が高いことが集中力を発揮させることが多い経験を持つ。つまり,何かに熱中することは,そのことに関心があるか,或いは非常に興味を抱いている場合に起こることが多い。趣味はもちろんのこと,仕事の場合でも同じ事が言えるのではないか。
「好きこそ物の上手なれ」と云われているように,物事に上達するには好きになることであり,好きになるからこそ一生懸命努力できるのである。このことは上達の極意であるが,この上達にも集中力が大いに貢献している。つまり集中してやることで上達が早いのである。これは,上達する良いサイクルになっている。
上達したい→好きになる→集中力を発揮する→物事が上手く進む→上達する
他のことを気にせず一心不乱に物事に集中できることは素晴らしいことである。こうした精神状態が作れるのは,そう簡単なことではない。いろいろな外乱があるのが常である。気候の変動でも気分は変わるし,世間の情勢も左右する。他人からの意見やいやがらせなど,人は生活している限り外乱は不可避である。さらには,内乱がある。自分自身の心の持ちようである。健康を害していると心は穏やかではない。失敗したり,叱られたり,いやなことを言われたりすると,途端に穏やかな心で無くなることがある。こうした内外乱が全く無い状態で居ることは難しい。
こうした状況をいち早く打開する手立てが興味を持つことである。人間好きなことであれば,多少状況が悪くてもそれに打ち込むことができることが多い。つまり好きなことであれば,幾多の困難を乗り越えられる経験を持っている。これこそ人間の特色でもあり,大いに活用すべきである。好きなことをやっていれば,時間の経つのも忘れてしまっている経験は誰しもが持っている。要は,一つのことに集中している証拠である。ただ,これは集中力が高まった状態とは云えない(これについては次回に述べる)。
好奇心を持つ
この興味を抱くためのきっかけは,好奇心を持っているかどうかである。つまり好奇心が旺盛であれば,何かに興味を抱くことが早い。且つ,それに伴う行動力も素晴らしいものがある。このことはその人の性格的なことにも大いに関連するので,簡単に変えることはできない。しかし,そうかと云って諦めずに,好奇心を養成することはできないことではない。
先ずは,失敗を畏れずやってみることである。多少の失敗は誰しもあるものと割り切り,失敗を悔やんでいるばかりではなく,次の成功の糧にすることである。そうして何事にもチャレンジできるようになってくれば,だんだん好奇心も湧いてきて,一度やってみようと云う気持になる。それが何度か繰り返されると,自然に何事にも好奇な目で見ることができ,自然と好奇心が旺盛になってくる。好奇心が旺盛になれば,興味を抱くことも増え,それにトライすることも増えてくる。興味が沸けば,上述したように,集中する力も増し,上手く行くことが多くなってくる。つまり,集中力を高める一つのきっかけは好奇心が旺盛なことに繋がってくる。
一方で好奇心が旺盛過ぎると,いろいろなことに関心が拡がり,なかなか一つのことに集中できないようになるのではないか,と心配する人もいる。確かに,目移りしすぎて集中できないことはよくあることである。目移りすると云うことは,心が不安定な状態にあることであり,心の不安定はいろいろな要因があり,先ずは内外乱を無くしておくことである。平穏な心の状態で目移りするのは,決断力が無く,いろいろ迷うことであり,迷うことは結果が付いてこないことが多いので,先ず迷うことを避け,どちらかを諦め割り切ることである。
「二兎を追う者は一兎も得ず」と云われるように,二つのことを欲張ってどちらも失敗したり,中途半端に終わると云う戒めの諺がある。つまり,好奇心が旺盛で,二つのことに興味を抱いてしまったとしても,どちらかに選択すべきであり,そうしないと集中力が発揮できず思い通りにならないことを昔の人は言っているのである。好奇心を持つことを決して戒めているのではなく,決断力の欠如を戒めているのであって,好奇心旺盛なことは必要なことなのである。
興味を持つことや好奇心旺盛は集中力を高める
[Reported by H.Nishimura 2017.05.15]
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