■プレミアムフライデー (No.520)
月末の金曜日はプレミアムフライデーと称して,終業時間を午後3時に早めるよう経済産業省が企業に呼びかけ,先月から実施されている。
狙い
経済産業省によると,@消費拡大とA働き方を改革する狙いがあると云う。
消費拡大は,月末の金曜日は早めに仕事を切り上げ,夕方から買い物や飲食,旅行などを楽しんでもらおうとする消費喚起策にしたいようである。単なる安売りの日ではなく,デフレ的な傾向を変える,一つのきっかけになることを期待しているようである。確かに,経験上,仲間との飲み会,歓送迎会など終末に設定されることが多かった。ただ,午後3時過ぎから飲み始めるのは如何にも早すぎ,定時退社で十分だった。
また,働き方を改革するとして,有給休暇の取得促進やフレックス制度の活動を促すことで,家庭生活などの豊かさや幸せに繋がる充実感や満足感を得ることができる環境作りに繋がることを期待しているようである。どうも無理やり取り付けた感があって,働き方の改革に繋がるというのは大袈裟な感がする。
このプレミアムフライデーが,週末の旅行を楽しむなど機会が増えることは容易に想像できるが,果たして定着するかどうかは,疑問が残る。先ずは月末の設定,月末はどの職場でも忙しいことが通常であり,金曜日が月末(つまり,月曜日から新たな月が始まる)にもなろうものなら,午後3時で退社できるのは,ほんの限られた人になってしまうだろう。その最たるものは経理など,月締めをしなければならない部署を思い浮かべれば明らかである。
どうも,景気回復が思い通りにならないので,キャッチフレーズ的な活動でごまかそうとしている感がしてならない。
完全週休2日制
そもそも,プレミアムフライデーが有効活用されるのは,土日が休みの完全週休2日制の企業の従業員に限られる。統計的な数字を把握できていないので,正確なことは言えないが,大企業はまだしも,中小企業では十分実施されているとは云えない。学校が土日が休みになっているので,土日が休日だという家庭は増えているとはいえ,このプレミアムフライデーが活用されるようには思えない。
そもそも週休2日制は私が入社した1969年,実施されたばかりで,当時は,一日教養,一日休養といって,土曜日は勉強会など,会社の仕事は直接しなくとも,何か仕事に役立つことを身に付けようとする狙いだった。週の間に祝日が入ると,土曜日は出勤で,所謂週2日の休みだった。やがて,祝日に関係なく完全週休2日制になり,一日教養もだんだん薄れ,土日2日間の休みが当たり前で,身体の方も自然とそれに馴染んでしまい,私たちの会社生活のリズムはそれになってしまった。
効率か,ゆとりか
時代の流れがあり,効率を求めた時代から,生活のゆとり,豊かさを求める時代になり,考え方も変わってきている。しかし,世の中の話題を見てみると,残業問題など,プレミアムフライデーどころの話では無いことが起こっている実情である。確かに,大企業から変えて行かないとなかなか進まないので,プレミアムフライデーは一つの提案ではあるが,どうも上っ面の活動に感じられてならない。
むしろ,それよりも,水曜,金曜の完全定時退社日などの方が,残業を抑制することにもなり,3時という中途半端な時間制限よりも,計画性が出てきて,生活パターンも一定のリズムが取り戻せるのではなかろうか。仕事の効率面からも,定時退社日の設定の方が優れていると思う。これはサラリーマンの心情をよく知った人が考案したものではなく,役人の机上の思いつきの発想であって,定着するとはとても思えない。一年後にどうなったか見てみたい。
プレミアムフライデーは単なる思いつきでは?
[Reported by H.Nishimura 2017.03.20]
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