■職場の問題点とその解決策 24 リーダが育たない 7  (No.505) 

リーダがなかなか育たないことを述べてきているが,もう少しリーダとしての役割をじっくり考えてみよう。

一般的にはリーダになるには従来の延長線上で役割を考えていることが多く,いざリーダに任命されると初めは誰しも,そう簡単にリーダとしての働きができないかもしれない。だが,少し時間が経過してくると,リーダとしての特質が如実に表れてくる。つまりリーダとしての役割を十分理解し,将来に向けてのビジョンを描きながら部下を鼓舞し,率先垂範する人と,ただ,従来の延長線上で,部下を使って仕事をしているだけの人とは,組織的にも大きな差が生じてくる。つまりリーダとしての最大の使命は何かを十分理解しているリーダとそうでないリーダとの差であり,理解できているだけでなく,それを率先垂範できる人か否かで大差がつくのである。

しかし,実際リーダになる前に,どれだけリーダとしての役割を理解できているかと云うと部下を持って大きな仕事をしなければならないと云ったような理解はしていても,それが会社組織の将来を担う役割だと意識できている人はそれほど多くない。つまり,順番が来て上に上がって行ってより広範囲な仕事をしなければいけない意識はあっても,改革を断行し,会社を大きく変革するのだと云う意識を持っている人は希有である。

本来のリーダの役割は,会社の変革をする,将来を見据えて会社の目指す方向を明確にして推進していくことが求められているのである。これはそう簡単にできることではなく,必ずしも成功するとは限らないリスクを伴うことである。だから,企業風土として失敗を許さないような企業では,このようなリーダが出現することは非常に難しい。本来のリーダ像を求め,理解しながらも,現実的には企業環境で押し潰されてしまうことが多いのである。

しかし,リーダとしての理想を求め,その役割を果たしたいと思う人もあろう。下図に分かり易く図説してみたが,会社の目指す姿を明確にし(ビジョンを掲げて),それに向かってどんな課題があるかを整理することが,最低限必要である。ここで抽出された課題の幾つかを,どのように克服して行くかを考えるのが戦略であり,それを具体化させるのが戦術であり,それらを基にリーダとしての指針を示すことが重要な役割の一つである。

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リーダは一人自分だけが優秀で頑張っていても,それだけでは何もできない。部下にビジョン,戦略,戦術を十分判り易く説明し,理解して貰って,全員で共有することが先ず第一である。これができなくて,ただ指示命令で叱咤激励するのでは,それでも進むことにはなるが,すぐに綻びが生じてくる。部下が腹落ちしない状態では長く持続することは困難である。やはり,全員で共有して,成果を共に喜び合うような姿ができなければ,将来の姿は矮小化され,本来目指す姿とは違ったものになってしまうだろう。

こうしたリーダの理想的な姿を実現させることは容易なことではない。しかし,チャレンジすることはリーダにとって非常に大切なことであり,こうしたチャレンジができる企業こそ,変革を成し遂げられ,清々発展していくであろう。

ビジョンを掲げ率先垂範できるリーダにチャレンジしよう!!

[Reported by H.Nishimura 2016.11.28]


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