■職場の問題点とその解決策 21 リーダが育たない 4  (No.501)

前回述べたピラミッド型とフラット型についてもう少し比較して詳しく見てみよう。

  リーダになる準備期間

ヒエラルキー型の組織では,段階的に上に上がっていくことが殆どなので,次に自分の番が廻ってくるのが判り,責任者になるための準備期間が十分にある。だから,リーダ教育もしっかり身に付けることができ,心構えもできており,準備万端で備えることが可能である。一方,フラット型も全く突然に指名されることは少ないので準備期間が無いわけではないが,いつ何時,最適と思われたときに指名されることができる柔軟な特長から,ヒエラルキー型と比較すると準備万端とは云えないことがある。

  リーダの資質の問題

フラット型では,リーダとして最適と思われる人物がリーダとして采配を振るうので,資質に問題があるとすれば,リーダを交代することになる。一旦リーダになったからとて,元に戻って新しいリーダの下で,部下として働くことがあり得る。一方,ヒエラルキー型では,ピラミッド型の組織構造なので,例えリーダの資質が今一つであっても,いろいろ相談する相手が,上司だったり,部下だったり,ときには仲間だったりして,上司や部下が支え合う組織になっているので,一人のリーダの資質だけで組織が大きく揺らぐことにはならない。

逆な見方をすれば,フラット型では最適の人がリーダとなっているので,重要な判断がリーダに重くのしかかる。もちろん,上司がカバーすることがあっても,任せる組織構造であり,スピーディな決断が特長なので,それが裏目に出てしまうリスクは無いとは云えない。つまり,リーダの判断の善し悪しが仕事の成否を決める割合が大きいと云える。

  指揮命令の徹底

ヒエラルキー型では,ピラミッド構造になっているので,各階層の役割が明確であり,指揮命令がスピーディでは無いにしても,きっちり下に徹底される組織構造になっている。だから,組織としてしっかりとした仕事分担が出来上がっている。

一方,フラット型では,リーダと部下として指揮命令はスピーディに伝わるものの,リーダが一人で大勢を見るケースもあり,リーダの目の届かない部分も出てくる。したがって,スピーディーな反面,不確実な遂行でも,そのまま放置されるリスクがある。段階的な多くの目が届くヒエラルキー型よりも,組織構造的には弱点があると云える。

  他の特徴も含めてまとめると以下の通りである

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  さいごに

ヒエラルキー型とフラット型の特徴を述べたが,企業に於ける実態は,必ずしも厳格な形になっている訳ではなく,その中間の形を採っているケースも多い。つまり,各々の組織構造には一長一短があり,また企業の仕事の内容にも大きく左右され,一概にどちらが優れているとは云えない。重要なことは,こうした組織構造の特徴を良く把握して,如何に最適な組織を作り上げ,組織力を発揮できるかである。各個人の持てる才能の優劣もあり,現実に即した対応が必要なのである。

そうは言っても,リーダの采配が企業の業績を大きく左右することは往々にしてあり,優秀なリーダが育っていく企業はやはり業績が伴い,発展していくことを考えると,如何に優秀なリーダを育てることができるかが最重要課題であることは違いないと云える。

ヒエラルキー型とフラット型の違いを知ろう!!

 

[Reported by H.Nishimura 2016.10.31]


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