■職場の問題点とその解決策 16 コストダウン 3 (No.494)
コストダウンを検討するとき,用いられるものの一つにVE(Value Engineering:価値工学)がある。
VE(Value Engineering:価値工学)とは?
V(価値)=F(機能)/C(コスト)
価値は機能とコストによって決められ,価値を向上させるには,次の4つの方法が考えられる。
1.コストダウンによる価値向上(同じ機能のものを安いコストで実現する)
価値(↑)=機能(→)/原価(↓)
2.機能向上による価値向上(同じコストで,より優れた機能を実現する)
価値(↑)=機能(↑)/原価(→)
3.原価の増加以上に機能が向上することによる価値向上(コストは上がるが,それ以上の優れた機能を実現する)
価値(↑)=機能(↑↑)/原価(↑)
4.コストダウンと機能向上による価値向上(より優れた機能を安いコストで実現する)
価値(↑)=機能(↑)/原価(↓)ここで,コストダウンを検討する場合,1の機能はそのままで,コストを下げることを考えることになる。そこで,機能をそのままにしておくと云うことは,機能そのものが何か,機能を分析・分解するなど,価値を見極めることから始める。これは,VA(Value Analysis 価値分析)と云い,現状品を改良しようとするときに用いられる手法の一つである。
VEの着眼点(GE社のチェックリストより)
そもそも,VEの始まりは,GE社で行われたVAであり,GE社のチェックリストを見てみよう。
1.この品物は,どのような価値があるか?
2.このコストは,用途に対してどれだけの価値があるか?
3.この品物の形状に,ムダはないか?
4.もっと良い品物はないか?
5.もっと安く作る方法はないか?
6.標準品が使えないか?
7.生産量に見合った適切な加工方法で作られているか?
8.材料費,加工費,管理費,利益は適切か?
9.もっと安く売ってくれる,信頼できる業者はないか?
10.自社よりも安く買っている企業はないか?
これは,GE社の代表例であり,扱っている商品などで変わってくるので,各々の企業がチェックリストを作り活用されている。
改善提案の活用
企業には改善提案制度があって,誰でも気づいたことを提案できる制度が設けられている。この提案制度は,衆知を集めると云った点で優れており,ラインの作業者からの提案で,大きな改善効果が見込まれるものもあり,その効果の大きさで表彰されることになっている。現場第一線で見聞した感覚は,設計者がなかなか思いつかないような発案もあり,貴重なものである。VA提案として,コストダウンに大きく貢献する事例がある。
改善提案の気づきの第一歩は,ムリ,ムダ,ムラを見つけることであり,このムリ,ムダ,ムラを無くす方法を考え出すことである。技術的に難しいことは一つもない。自分の周囲で感じていることを素直に見ることである。決まったことだから仕方がないとか,上司から指示されていることだから変えることはできない,などと凝り固まった考えをぬぐい去ることから始めるとよい。
コストダウンは設計者だけで考えるものではない(衆知を集める重要性)
[Reported by H.Nishimura 2016.09.12]
Copyright (C)2016 Hitoshi Nishimura