■リオオリンピック観戦記 1  (No.490)

南米ブラジルのリオディジャネイロで,オリンピックが開催されている。南米では初めてオリンピックであり,マスコミの報道では治安が悪く,競技場などの準備もなかなか捗っていないとのことだったが,何とか無事(?)開催されたようである。日本とは丁度地球の裏側に相当し,四季も逆で冬場だそうだが,赤道に近いことから気温は20数℃とまずまずとか。時差が12時間あり,昼夜が逆転しており,ライブで見ようとすると,夜中から朝方になり,寝不足の人も多いようである。

  柔道選手の大活躍

前半戦を終え,メダルラッシュになっているが,その貢献度が一番高いのが柔道である。前回のロンドンオリンピックでは,男子は金メダルが一つも取れず,女子も一つだけと,散々な結果だったが,今回のリオでは,男子が全階級メダルを獲得し,柔道が種目に採り入れられた東京オリンピック以来のことだそうである。(但し,東京オリンピックは軽量級,中量級,重量級,無差別級の4階級)

そもそも柔道は日本のお家芸であり,他の競技と明らかに違うのは,金メダルを獲って初めて讃えられ,銀や銅メダルではなかなか賞讃されないところがあるようである。選手の意識も全く同様で,銀や銅メダルを獲っての笑顔は少ない。必ず,次回東京では金メダルを狙うと云うのが殆どの選手である。

放送でも言われていたが,銅メダルは一度負けて,直ぐに立て直して敗者復活で勝ち残って終えることで得られるもので,精神的なものが要求され,且つ負けて終わる銀メダルよりも,勝って終えることで,体面を保ったかのような安堵感があるようである。どの色のメダルであっても,世界の指折りの三つに入る成績を上げたことなので,厳しい練習を耐え抜いて為し得たものでもあり,他の種目同様もっと賞讃されても良いのではないかと思う。結果の金2,銀1,銅4は立派である。

これも報道で初めて知ったのだが,柔道が世界に広まり,日本人の投げ技だけではなかなか勝ち進むことが難しくなった前回のロンドンオリンピックの反省から,大きくトレーニング方法を改善し,ボディビルの専門家による筋力,持久力を強化するトレーニングを試み,力でも負けない体幹を鍛えることをやってきたと云う。また,相手の技のルーツを知るため,ブラジリアン柔術(ブラジルで日本人の移民がプロレスから学び取った格闘技),サンボ(ロシアで開発された格闘技),モンゴル相撲,沖縄角力(柔道着のように帯を付けた投げ合いの相撲)などを研究し,沖縄相撲は選手にも経験させたと云われている。このようにして世界に通用する柔道を作り上げたようである。

  競泳陣も活躍

金メダルは400m個人メドレーの萩野選手と200m平泳ぎの金籐選手の2つだったが,銀メダル2個,銅メダル3個とロンドンオリンピックよりメダル数は減ったものの,金メダルが無かったロンドンよりも活躍した印象が強かった。特に,萩野選手は200m個人メドレーの銀,800mリレーの銅と,まだまだ可能性を秘めた活躍は一際注目を浴びた。

今回初めて知ったが,裏で支えるコーチとの二人三脚で活躍する選手が居た。女子200m平泳ぎで金メダルを獲った金籐選手と加藤コーチで,大学時代からの付き合いで北京オリンピックで7位に入賞した。しかし次のロンドンオリンピックは国内の選考会で代表入りを逃し,その後伸び悩んだが,加藤コーチの励ましで記録も伸び,五輪切符を掴み,今回の偉業に繋がった。苦しい練習を繰り返し,念願の金メダルを獲った瞬間は,為せばなることを実証した瞬間だったように感じた。

  体操は見事

体操も念願の団体金メダルを獲得したことは,日本中を感動させた。ライブでは観なかったが,最後に金メダルを獲ったことはインターネットの情報で最初に知り,それからテレビをつけてその喜びをかみしめた。最初の跳馬で山室選手の落下があったが,徐々に追い上げ,5種目終わった段階でようやくトップに立ち,最後の床で白井選手のひねり技で16点台をたたき出し,勝利を決定つけた。特に,6種目すべてに出た内村選手の強さと,団体金メダルへの執念は見応えがあった。

個人総合でも,内村選手の逆転優勝は奇跡にも近いものがあった。最後の鉄棒の演技を残し0.9もの差があり,逆転は困難と思われたが,難易度の高い華麗な手放し技で点数を稼ぐ作戦が見事に当たり,と云うより完璧な演技をやりこなした経験の差が最後に出たように思えた。団体で全種目に出場し,身体の限界に近い状態で成し遂げた個人総合の金メダルは,団体以上に日本中を感動させたのではなかったか。

  前半戦の結果

金 7個,銀 4個,銅 15個  合計 26個  これは北京オリンピック(2008年)の25個を上回っている。特に柔道が,金 3,銀 1,銅 8と合計12個を稼いでいる。

金メダルの目標数が14個だそうなので,どこまで迫れるか,後半戦の競技からも目が離せない。

 

ガンバレ 日本!!

[Reported by H.Nishimura 2016.08.15]


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