■ワールドカップ2014 グループリーグ敗退  (No.379)

日本中を騒がせたワールドカップ2014で,日本はグループリーグ1分2敗で最下位でベスト16に残ることができなかった。その理由は,解説者や経験者など名だたる人が詳しく説明しているので,敢えて素人が説明することは何も無いが,感じたことを述べてみよう。

  世界の壁はまだまだ高い

今回の大会は,前回優勝のスペイン,強豪のイングランド,イタリアなどがグループリーグで敗退してしまう波乱含みの大会だった。決勝リーグはこれからなので,どこが優勝するか判らないが,開催地のブラジルなどが挙げられている。日本は残念な結果でCグループで最下位に沈んでしまった。地の利か中南米のチームが5チームベスト16に進んでいる。

負けた原因はいろいろ云われているが,まだまだ歴然として日本と欧州や中南米のチームとは大きな隔たりがある。アジア代表の4チームが1勝すら出来なかった今大会を見れば明らかである。守備から攻撃への素早い切換のカウンタ攻撃などを見ると,そのスピード感は日本とは比べものにならない。2,3人で身体能力を活かしたスピードでもってあっと言う間にゴールネットを揺らしてしまう。

サッカーのワールドカップは,今日ではオリンピックに次ぐような人気を博しているが,歴史はまだまだ浅い。野球でも数十年前の日本と米国の差は大きく,日米親善試合でも日本が殆ど勝てなかった時代がある。パワーはもちろん,ゲーム運びにしても歴然とした違いがあった。サッカーもプロリーグができたのが1993年と云うから,20年経過しているが,FIFAワールドカップは1930年に第1回の大会が開かれている。日本がワールドカップの予選通過して本戦に初めて出たのは,1997年である。ワールドカップの予選リーグを突破するのがつい最近までの目標だった。予選通過が当たり前のようになってきたのは,ここ10年,2,3回前の大会からである。そうした点では,まだまだ歴史は浅い。

ザッケローニ監督の采配にも疑問を抱いている人も多いようである。日本のスタイルのゲームができないために,日頃から十分練習もしていない戦術を採らざるを得なかったようなことを指摘する人も居る。潔く,敗戦結果は監督の責任と辞表をするのはよいが,今後の日本のために何を遺してくれたのか,それがよく判らない。海外の監督要請も日本人の心がよく理解できる,それでいて世界に通用できる選手を育て上げることのできる人を招聘して欲しいものである。

  チームプレイと個人技の差

今大会では日本のチームプレイのスタイルのゲームができなかったとも言われているが,日本のチーム一丸となったプレイに対して個人技で勝ち抜いていく欧州や中南米のプレイが優っていたとも云える。現に,コートジボワール戦の後半から入ったドログバやコロンビア戦のこれも後半から入ったロドリゲスの各チームのエース級に,完全に振り回され,後手に廻った感じが強い。まだまだ日本のチームプレイが並みのレベルでしかない証拠である。

最後のゴールが奪えなかったシーンを見ても,日本の選手は殆どと云ってよいほど相手のディフェンダーに迫られている。決定的な瞬間を外したように見えるプレイも,完全にノーマークになったシーンは一度も無い。つまり,チームプレイで相手を完全に崩したことは殆ど見られなかった。世界のレベルがそれだと云えばそれまでだが,日本の攻撃のパターンが単調で,読まれていたのかもしれない。或いは,日本では通用する攻撃が,相手のディフェンス能力が高いゆえ,焦ってしまってなかなかゴールが奪えなかったとも云える。

ベスト16に残った各チームのゴールラッシュが何度となく放映されているが,個人技で相手ディフェンダーを振り切って,完全にフリーでシュートできているシーンが結構ある。必ずと云ってよいほど,エースストライカーか,キーとなる選手がいて,相手チームがその選手に振り廻されてしまっていることがよくある。こうした選手が日本には見当たらない。本田にボールが集まっていたようだが,彼のスキルではそこまでのレベルになっていない。

前回大会からの反省で,世界のレベルに通用するようにと多くの選手が,ヨーロッパの各チームに所属しているが,本田や香川に代表されるように一流チームには所属しているものの出番が少なく,実戦経験が少なくなっている。これは,日本の強化策として果たしてベストな方法なのかも考える必要がある。確かに,世界のレベルを肌で感じることはできても,そこで活躍出来ないようでは,実践の感覚が反って鈍っているようにも感じられる。今回,かれらがベストコンディションに持って行けなかったのもそのような環境があったようにも感じられる。

  次のワールドカップに向けて

今回,選手の半数近くが海外組だったが,本当の日本のチームプレイが十分発揮できたかと云えば,必ずしもそうではなかった。海外のチームでプレイすることは,ワールドカップでいきなり海外のレベルと対戦するのではなく,レベルの違いをいきなり本戦で感じるのではない。世界のレベルに慣れる点では必要なことである。

しかし,今の状態で日本のチームとしてベストな状態にもって行けるかと云うとそうではない。ヨーロッパのチームで,エース級とまでは行かなくとも,それに近いような状態で活躍できるような選手を,一人か二人育てることが最低条件になる。つまり,ワールドカップ直前まで,所属するチームで十分な活躍をできている選手が中心となって日本チームを率いるような形が必要になる。

そうすれば,今回の対戦相手にいたドログバやロドリゲスのようなチーム全体を鼓舞激励して率先して引っぱることが可能となる。世界に通用するチームプレイで進む限りでは,今よりスピード感あるプレイができたとしてもグループリーグ突破がやっとでしかないだろう。ベスト8,ベスト4を目指すには,世界に通用する選手,野球での田中将大やダルビッシュのような選手を,何とかここ4年間で育て上げることではないだろうか。素人の目にはそのように映る。

ワールドカップ敗退は当然の結果である

次の大会を目標に抜本的な改革が必要ではないか!!

[Reported by H.Nishimura 2014.06.30]


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