■日本のリーダー論 4 (No.305)
リーダー論の続き
リーダーとして,日本国のリーダー,企業トップのリーダー,上司としてのリーダー像を述べてきたが,リーダー論を論じあうとき,これらの区別無しに意見を言い合うと,描いているリーダー像によって大きく違ってくるので,なかなか議論が噛みあわないことが生じる。それに本音と建て前が絡んでくると,リーダーとしては立派だと認めながら,いざ自分の上司となると認めない,いやだと云う人も出てくる。テレビなどの討論を見ていると様々な立場からの発言があることがよく判る。
日本国,企業,上司そのいずれのフィールドにても,個人として優れたリーダーが居ないわけではないが,そうした理想型を求めることは困難である。少なくとも,決められたフィールドにおいて,リーダーとして活動する範囲において,求めるようなリーダーが出てきて欲しいと願う。
ここでは,日本国のリーダーについて述べる。昨今の一番卑近な例は,衆議院の総選挙である。この選挙で日本のリーダーが決まることになっていた。早くからの予想通り,自由民主党が復活・圧勝を果たし,安倍総裁が首班指名された。
日本国のリーダーとしてどれだけ手腕を発揮できるかである。過去の途中で投げ出した経験を踏まえて,どれだけ日本国の為に頑張ってくれるかである。日本の建て直し・復活を約束した公約をどれだけ実現できるかである。国民の最大の期待は,経済復興,デフレ脱却であり,選挙前から円安に振れだし,株価は上昇し,その傾向は出つつあるが,どこまで経済の活力が取り戻せるか期待は膨らむ。ただ,公共事業のバラマキ復活による再生では,過去への後戻りであり,必要不可欠な公共投資に限定して欲しいものである。
円高からの脱却は日本復活に不可欠な条項であり,せめて90円台に戻して貰えれば,元気の出る企業が増し,経済活動が活発となり,デフレ脱却はもちろんのこと,ものづくり大国,つまり付加価値を生み出す産業が息を吹き返し,株価も上昇して元に戻り,日本の良さが復活することになるだろう。そのような国作りを目指して欲しいものである。自由民主党の圧勝で,対米政策始め,経済界とのすり合わせなど経験からくる段取りよい活動が始まっており国民の期待は高まっている。
ただ,自由民主党の圧勝に裏付けられた国民の支持があったのかはマスコミの報道でも報じられているように定かではない。第三極が乱立し,民主党が落ち込んだことから自由民主党が浮上したのであって,比例区の投票率からみても判るように,国民の支持が大きく伸びてはいない。それは昔の自由民主党の古い体質が残っていることを危惧する声でもある。日本のリーダーとして,新たな自由民主党が見せられるかどうかに掛かっており,それが無ければ,再び混乱することは必至である。そうならないことを願いたいものである。
ここまで書いておいて年を越してしまった。予想通りと云うか,それ以上と云うか,円安はどんどん進み90円がチラホラしてきている。あっと云う間に10円も円安に振れ,企業を始めとし,喉を潤している人が多くいるだろう。
今のところ,安倍政権はアベノミックスと称され,経済再生に向けて最優先課題として取り組んでおり,その期待値は大きく,円安,株価に大きく影響を与えている。期待値としての反映で,実際の取り組みが進んで成果がでたのではない。そうとはいえ,良い方向に進んでいることには違いない。何が民主党政権と違っているのか?単に政権が変わり,日本のリーダーが変わっただけである。発信力から経済に及ぼす影響がこれだけ大きいとは思っても見なかったことである。ただ,発信力だけの違いなのか,余りにも民主党が信頼されなかったことへの反動なのか,本当のところは判っていない。
真価が問われるのは,これからの政策の実施如何に掛かっている。期待値が大きいだけに,結果が出ないとその反動は大きい。とは言え,大きな成果が直ぐに出るとは思えない。そうした状況下で,日本のリーダーとして為すべきことは何か?国民の期待に沿う活躍とは何か?先ずは,経済政策で,物価上昇2%を掲げているが,物価が上がるだけではなく,賃金上昇を伴うものでなければならないことは国民誰しもが思うことである。願いとは裏腹に,真に実行できるにはかなりの困難が待ち受けており,如何にして克服できるかであり,この一点は今後の日本のあり方を決めると云っても過言ではない。
日本のリーダーとは,先ず経済政策において,周囲を取り込んで国全体を良い方向に導いてくれることである。そのことを国民がみんなで認識し,政治に任せるだけでなく,自らも良い方向へ進むための努力をしなければならない。そうした一人ひとりの努力が,実質的なデフレ脱却への大きな支援となりうるのである。この傾向を,参議院選挙までと云わず,1,2年は持続して,真に日本国再生の道筋と願うばかりである。
日本再生へ,今の良い傾向の持続を!
期待先行ではなく,実質的な改善のリーダーシップを願う!
[Reported by H.Nishimura 2013.01.21]
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