■東北の大地震 2 (No.212)
地震発生から1週間が経つ。被害の状況が明らかになるにつれて,その大きさが明らかになってくる。死者・行方不明者を合わせると,1週間経った今日で20,000人を超えると云う。とてつもない被害である。
津波も跡形から推定されると場所によっては,15mにも及んでいるとか,津波に対しては5mの堤防を作って対策していたのが全く役に立たないことになったようである。家もろともにすべてをさらってしまった津波の恐ろしさを改めて感じる。何という悪夢としか思えない自然のなす巨大なものに日本中が呑み込まれてしまったとしか言いようがない。
その津波の被害の話題と並行して,日本中,否,世界中を騒がせている原子炉からの放射能漏れである。連日,テレビで報道され,官房長官が20数回に亘って広報されている内の大半が原子炉の冷却水が循環せず,炉芯がむき出しとなり,高温になって,水素爆発を繰り返し,その対応策がなかなか上手くできず,半径20Km或いは30Kmの人を避難勧告させている。
マイクロシーベルトと云う被爆単位も初めてと云うか,日頃はあまり意識もしたことのない数値が連日報道され,通常の何100倍もの量と云われるとビックリするのも当然のことである。技術者は,マイクロとミリの単位の違いもよく判っているし,また人間の被爆量がどの程度になると危険なのか,一度説明を聞くと冷静に数値から判断がつくが,そうでない人にとって,数1000マイクロシーベルトと云われた途端,これは危ないと感じて逃げだそうとするのも無理はない。
官房長官は比較的,誠実に記者との質問にも答えられており,その対応振りは感心させられるものがある。しかし,マスコミによるテレビの報道では,誠実な解説者もおられるが,やはり危険を煽って逃げ出すことを推奨していることの方が多いように感じる。被爆量の人体に与える危険度が一応基準は決められているものの,それ以下でも,人体に与える影響が皆無ではない。そうしたことから,解説者,特に原子炉そのものに反対しているような人にとっては,もっての幸いとばかり,危険を振りかざして主張されているのではないかとも感じる。
初めて知ったのだが,日本には54基の原子炉が稼働していて,有力な発電資源である。世界でも聞くところによれば,クリーンなエネルギー源として,推奨して拡げて行こうとされていた矢先に,今回の事態が生じたとのことで,少し,拡大は低下するのではないかとも聞く。どなたかが説明されていたが,単に原子炉の危険がと云うのも,全体の電気を賄う供給源と今日の需要のバランスからエネルギー政策としてどうなのか,から始めて欲しいと云われていたが,全くその通りだと思う。生活は豊かでありたい,しかし危険は避けたい,と思うのは誰しも同じである。そこで,多少の不自由を選択するか,万が一の場合でも,危険度は少しあるかもしれないが今の生活からして致し方ないと認めるか,選択は我々一人ひとりに掛かっている。
関東での混乱振りを見ると,節電が途端に起こったのでパニクッているところがあるとしても,やはり自由快適を求めすぎている結果がこのようになっているとの見方もあり,どちらかと云えば,私もそう感じている。24時間営業が本当に必要なのか,それも効率や売り上げ倍増施策としてであって,24時以降の営業は徐々に無くして,自然界にいる人間としての昼間は働き,夜間は人の生活をメンテナンスするような仕事のみに制限して,豊かな日本は作れないのだろうか,とも考える。昔と違って,世界での競争で日本だけがその道を選択することは難しい。ある程度,経済的に豊かでないと人の暮らしも豊かにならない。地球温暖化で世界が騒いでいるが,同様にエネルギー政策としても世界中でもっと議論が湧き上がってもよさそうに感じてならない。
話変わって,被災者が他府県へ一時避難が続いており,我が家でも何かできることはないかと相談した結果,募金活動はどこかに協力はするが,それ以外に,実家(滋賀県)が空き家になっている。昔ながらの中山道の宿場町の旧家(自分で云うのは恥ずかしいが,古い家と云う意味です)で,父母が亡くなり,この2,3年は空き家状態であるが,水道,電気,電話などはそのままで,プロパンガスだけはストップしたが,時々行く程度なので,被災者で希望があれば提供させて頂こうと,ネットで調べて,滋賀県の被災者受入機関に登録をしてみた。
着のみ着のままで被災された方でも,生活するには十分な部屋と布団,生活用品一式はすべてあるので,一時凌ぎに使って頂くには十分と思って,その旨を受付の方に電話で伝えた。休日なので交代で出勤されているようで,上手くマッチングするような方があれば,連絡するとのことだった。こうしたことで,少しでも協力できるならば,何とかしてあげたい気持ちで一杯である。
被災された皆さんの一日も早い復興を願う
我々でできる援助は僅かであっても協力したい
[Reported by H.Nishimura 2011.03.21]
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