■東北の大地震 (No.211)
3月11日,午後3時前,宮城沖で大地震が発生した。M8.8,宮城の栗原市では震度7を観測,阪神淡路大地震を遙かに上回る規模の地震である。その上,数メートルの大津波が三陸沿岸地方を襲い,被害が甚大になっている。(3/13になって,M9.0に訂正された)
それは突然,目眩が起こったかのような感覚に襲われた。門真で8階建てのビルの7階で仕事をしていたのだが,仕事の話をしていて,急に不思議な感覚になった。一瞬は,また目がおかしくなってしまったのかとも感じた。所謂,長周期地震動ともいわれるような,長いゆっくりとした揺れが暫く続き,それが何度か繰り返された。1分以上続いていたのではなかっただろうか。肌で感じる地震としては,これまでで一番大きいように感じた。
阪神淡路大地震のときは,眠っているときだったし,自宅でガタガタと揺れる短い時間だったが,今回の地震はゆらりゆらりと船上で揺られるような感覚で,一瞬ヤバイのではないか,外に逃げ出さないと,とも感じたほどだった。それはつい最近のニュージーランドの地震災害の様子が浮かんだからだったのかも知れない。すぐさま,近くの人がインターネットでみて,東北での地震だと知った。これだけ大阪でも揺れを感じたのだから,相当大きな地震と直感した。テレビが付けられ,宮城沖で発生,発生当時はM8.4とか発表されていた。しかし,10メートルの津波の危険性があるとの報道に,1メートルでも津波は恐ろしいと聞いていたのに,10メートルとは,本当にこんな津波がきたらたいへんなことになるのではないか,と。(すぐさま,報道では,M8.8との報道になっていた)
テレビが付けっぱなしになっていたので,その状況が刻々と入ってきており,たいへんな様子が次々映し出されていた。被害状況はなかなか判らないが,状況が判ってくるとその被害の大きさが判ってくる。阪神淡路の大震災のときもそうだったが,最初の半日程度は,被害が大きければ大きいほど,情報が入って来なく,実態把握はなかなかできない。津波が襲ってきたとか,家が倒壊しているとか,地震発生の瞬間の映像などが流されるが,それはテレビカメラが映し出せる範囲の映像であって,被害の大きかったところの映像では必ずしもない。
職場の責任者は,安否を確認するために,携帯電話で出張先の人などの確認を周りでされていたが,どうも東京でもたいへんな状態が起こっているようである。電車がストップし,海岸近くの展示場では2階に避難を余儀なくされているなどとの情報が入ってくる。その状況からも,東北の震源地に近いところでの被害は,相当大きいものと推測される。
帰ってテレビを付けると,どのチャネルも地震の映像,特に,津波の凄さの映像である。当に,映画の日本沈没の映像そのものである。それがCGや映画の中での場面でなく,ドキュメンタリーの映像で,車が,家が次々流されている。世紀末とも云うべき様が映し出されている。火災も発生している。特に,火災は,阪神淡路の震災の状況を思い起こさせる。
一日経って,土曜日も朝から,映し出される映像は,昨日までは判らなかったもので,孤立したところに未だ多くの人が残っていたり,周りは海のようになっているポツンとある民家に人が残っていて,レスキュー隊がヘリコプターで吊り上げて救出する場面など,これも映画の場面ではなく,実際の現実の場面なのである。1000人超の死者との報道だが,まだまだ増える可能性は高い。情報が途絶えて把握できていない地区があったり,津波に襲われた地区は,未だ大津波警報が出ていて近づけない,或いは助けに行きたくても道路が寸断されて近づけない,と云った状況で,正確な情報が把握できていない。
テレビの報道でしか判らないが,ある町では人口の6割に当たる10000人の安否が未確認になっていると云う情報も伝わってくる。被害の甚大な所ほど,情報が寸断されてしまっているので,正確なことが判らないのは当然である。繰り返し映し出される情報を見る限り,まだまだ被害の大きさは計り知れないようにも感じられる。テレビを見ていても,胸がつまされる思いがする。
おまけに,原子炉の停止で,冷却水が供給できず炉心が溶け出し,放射能が漏れだしている危険性も云われている。当に,地獄絵図がそこにある。天変地異でどうしようもないことと,諦めるのは簡単だが,万全の対応をしないととんでもない結果になる。1号棟の爆発の様子をテレビで実況していたが,映像からはとんでもないことが起こったのではないかと想像してしまう。その後の官房長官や専門家の話を聞いていても,慎重過ぎて何か正確な情報を隠しているように聞こえてならない。正確な情報を把握せず判断するのは早計過ぎるのは当然のことであるが,人命に関わることは,後で取り返しがつかないような判断は避け,最悪のケースを想定した準備を促すべきで,正確な情報をいつまでに発表するなど,安心させて欲しいものである。
その後,被爆した人が現れたり,第1号炉だけでなく,第3号炉も危険性が出てきたとか,原子炉の危険性の報道が繰り返される。半径3kmの避難区域が10Kmに拡大し,やがて20Kmの半径以内の人の退避命令が出て,自衛隊など身動きがままならぬ人の救出をしている。これ以上,被害が拡がらないことを祈るばかりである。原子炉のことは,危険を煽るのも拙いが,適切な処置判断ができる情報をタイムリーに出して欲しいと願うばかりである。
今回の大震災は,当に,日本の危機でもある。
今回の地震に対して世界からどのように見られているか,その面白い記事が新聞に載っていた。中国での話題だが,GDPが世界第二位になったと喜んでいるが,今回の地震に対する日本人の対応,マナーの良さは,是非見習うべきである。当に,世界一のマナーで,教育の徹底・良さが今日の結果で,中国が50年掛かってもそこまで及ばないのではないか。そうした情報がネット上に飛び交っているとのことである。日本では,どんなときでも,ルール・マナーを守って整然と対応することは,ごく自然なことで,何の違和感も感じない。そうした日本人の良さを改めて知らされた気がする。
被災された皆さんの一日も早い復興を願う
我々でできる援助は僅かであっても協力したい
[Reported by H.Nishimura 2011.03.14]
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