■最近の話題から 1 (No.210)
プロジェクトについて,いろいろ述べてきたが,今回は,話題を変え,昨今の政治情勢の不安定な,日本の将来が危ぶまれる状況を呈してきているが,政治にはそれほど強くはないので,一般的な話題でしか話ができないが試みてみることにする。
国民年金の不公平
私の場合,厚生年金が満額貰える歳になり(私の場合,63歳から),未だ仕事をしている関係上,満額でなく,一部を貰いながら未だ払っている状態でもある。若い世代には関心が薄いかもしれないが,国民年金の話題を取り上げる。
最近,厚生労働省があたふたしている件に,国民年金の3号(サラリーマンの妻が入る)で,その切換をしていない人で無年金になる人が,100万人も出る可能性がある。その混乱を避けたいため,厚労省が運用基準で,切換忘れでも本年1月1日から,支払い忘れの人に,社会保険庁のやり方の拙さ(年金が貰えるような資料を送付している)を隠すかのようなやり方で,切り替えてきっちり払っていた人と,2年間遡って支払いさえすれば救済処置として,支払っていた人と同額の年金を貰えるようにしたのである。
テレビでこの不公平(真面目に支払っていた人がバカをみるような処置)についての議論がなされ,厚労大臣も支払いを留保すると国会で発言している。実際には,何百人かにこの15日には支払いがなされるようだが。つまり,もう一度,見直しをしようと云うことになっているようである。
テレビなどでの知識しかないが,要はサラリーマンだった奥さんが,旦那が脱サラをしたとき,健康保険の切換はたちまち支障が生じるので切換するが,厚生年金から国民年金への切換は十分徹底がなされていないようである。そのため,切換に全く気づかなかった人が多数存在し,その人達が無年金となり,社会問題化することを怖れているのである。確かに,切換忘れの方には救済策なのだが,一方国民年金は無払いの方が多く存在し,支払いが必要なことは判っていても払わない人も居る。
最終の落ち着きどころが,どこか判らないが,有識者の中の意見の一つに,真面目に払って居る人と同じ待遇にしてしまうことに不公平感があり,空期間扱いで,年金支給の25年以上の年数カウントには入れて,無年金ではないが,年金額が減額される。また,2年間しか遡って支払いができないが,それの期間を延ばして遡って年金を支払うことができるようにする,などと云った案もある。
実際,全員が公平なやり方が一番良いのだが,それは現実にはあり得ない。できるだけ多くの人が納得感を持つ解決策がベターなのであるが,それもそう簡単に出てくる答えではない。つまり,こうした年金問題は,いろいろ議論されてはいるが,一度も納得感あるものになった試しがない。貰う身になって考えれば,ありがたい制度である。また,老後安心して生活が送れる日本であって欲しいし,最低生活の保障は何人といえどもしてもらえる日本であって欲しい。
全員中流意識の日本人と云われた時代があった。つまり,高度成長期にあって働ければ働くほど収入が増え,豊かさを感じるよき時代があり,マイホームを多くの人が夢見,頑張った頃のことである。そうした時代にも,貧富の差はどこかにあったが,頑張れば何とかなるという希望が誰しも,片隅にあった。だから,今のような時代の汲々たる思いの中では,僅かな不公平も,大きな不公平感に増長されるように思う。個人的には,真面目な性格上からも,ずるい人が得をするような不公平感が蔓延する世の中は作って欲しくない。
真面目にコツコツ働いていても,景気の波などで仕事を失い生活に困窮するような人には,セーフティネットなどを完備して,救いの手を差し延べ,再び働ける環境を取り戻すようにしてあげられる社会であって欲しい。その点で,気になるのは,正規雇用と非正規雇用の差で,今でも大きな問題であるが,日本の経済が明るく元気を取り戻すことが最優先課題とはいえ,年金などその世代が,年金生活者になる時代には,今回の不公平感どころでは無くなる事態が予測され,どうなるのだろうと心配している。
正直者がバカをみる社会に明日はない
そんな不公平感が蔓延する日本であって欲しくない
[Reported by H.Nishimura 2011.03.07]
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