■なぜ,考えることができないのか?(思考力不全) 6 (No.194)

  【組織・チーム】

  2.「問題」と「課題」の区別ができていない

一般的には,問題点も課題も同じような扱いをされている。問題を解決するためにやるべきことを「課題」と言われている場合も多い。しかし,仕事をやる上で,これらが混同されて使われているから,なかなか結果が出ないことが多い。そこで,今回は,この「問題」と云われる事象と,「課題」と云われる事象を,明確に区分することにする。同じように使うことは間違いとは云わないが,これから述べるように区分して考えることが,思考力を高めることにもなり,結果が出ることにつながるので,是非,理解して戴きたい。

先ず,次の図を見ていただきたい。これは誰もが,「問題点」と「課題」の違いを判りやすく説明するために描いたものである。これから一目瞭然であるが,「問題点」は今,現状,発生している問題であり,これは考えるまでもなく,誰にも明らかである。もちろん,それを解決するためには考えなければならないが,問題点を見つけるには考える必要はない。

ところが,「課題」とは,現状とゴール(目標)とのギャップでやるべきこと,としているから,考えずには「課題」は抽出されない。その前に,「課題」には必ずゴール(目標)がなければならない。それが無いとギャップが判らない。当然,ゴール(目標)は現状とは違ったもので,そこに到達するためには,何かしなければならない。その何かしなければならないことを「課題」と定義する。したがって,「問題点」と違って考えないと「課題」は見つからない。「まず,課題抽出を」と云われるのは,こうしたやるべきことを見つけることである。もちろん,ゴール(目標)にはいろいろあって,非常に高い目標で,すべての課題が最初から明確にならないこともある。

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少しは,理解できただろうか?「問題」が起こることは,考えていても考えていなくても起こる。そして誰もが,特別なことが無い限り,問題を認識する。つまり,「問題」は向こうからやってきて,我々に気づかせる。だから,特に考える必要もない。しかし,「課題」は向こうからはやって来ず,自らが見つけ出さねばならない。即ち,ゴール(目標)へ到達するために,これから何をすべきかを考えることによって「課題」が浮かび上がってくるのである。だから,考えない人,思考停止状態にいるチームでは,的確な課題が見つけられないことがある。

最初に述べたように,「課題」を見つけ出すには,明確なゴール(目標)が必要である。ところが,我々の仕事ではいつも明確な目標が定まっているとは限らない。だから,何となく仕事をしている人は,明確なゴールがないため,課題が見つけられない。つまり,考えることができない状態に留まっている。思考停止しているチームや組織では,大概,こうした明確な目標が無いため,課題も見つけられない状態にあることが多い。

問題を解決する方法や与えられた課題を解決する方法はいろいろあり,それは出来るチームや組織であっても,課題を自ら抽出してそれを解決して,ゴールを目指すのとは大きな違いがある。つまり,自らの力で考え出した課題を順次ゴールに向かって進めることができる自律集団とそうでないのでは,スピードも結果の大きさも随分違ってくる。そうしたことに気づかないままで居ると,いつしか大きな経営成果の差となって現れることになる。

 (続く)

まず,「問題」と「課題」の区別をするようにしよう

自ら「課題抽出」ができる自律集団を目指そう

 

[Reported by H.Nishimura 2010.11.08]


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