■なぜ,考えることができないのか?(思考力不全) 4 (No.192)
【会社の文化・風土・習慣】
6.「負のサイクル」に陥っている
@他責が蔓延している
通常何か問題が起こると,なぜ起こったのだろうと考える。その原因は何だったのか?どうして,このような問題を引き起こしたのか?なぜ,事前に察知して問題を発生させずに済ますことができなかったのだろうか? などと,自分を中心に起こった現象から原因を究明するのが一般的なやり方である。
しかし,思考停止状態の組織では,誰がやったのか?誰が悪かったのか? など,自分の反省よりも先に,他人の所為にしてしまうところがある。もちろん,「なぜ,できなかった」も考えないのだから,「どうしたら上手く行くか」など,前向きな発想は出てこない。こうした状態の下では,自らが振り返って反省することが無いので,改めようと自浄作用が働くことがない。これでは,良くなることが望めないし,組織力は少しも強くなって行かない。
また,こうしたことを考える役目は担っていないと割り切っている人も居る。自ら考えようとしないで,他の人の責任にして逃れてしまおうとするのだから,改善はなかなか進まない。みんながみんな同じように考えてしまうと,誰も考える人が居なくて全く組織として思考停止状態になってしまう。経営状態が悪いと,ますますこのような考え方が蔓延していく。
A悪いことばかりが,順番に廻っている(負のサイクルの症状)
悪い現象の原因を次々掘り下げて行くと,結局基のところに戻ってしまうことがある。なぜなぜと5回掘り下げれば,真の原因が突き止められると一般的に言われているが,ときどき,このように最初の現象に戻ってしまう場合がある。これは,真の原因が,この負のサイクルを引き起こしている組織・風土のようなものにあって,決め手が無いのである。
その渦中に居る人にとっては,そうした負のサイクルに陥っている自覚症状が無いのが一般的である。むしろ,一生懸命頑張っているのになかなか成果に繋がらないとあくせくしている。怠けているわけではない。そうした症状が出ている組織では,他からのちょっとしたアドバイスが効果的なことがある。つまり,どこかを断ち切ることをすれば,そのサイクルが途切れ,上手く行く方向に向かうこともある。少なくとも悪いサイクルが持続することは避けられる。
一般的に負のサイクルの症状に陥っている場合,諦めが早いのが特徴である。とにかく,何をしても上手く行かないと諦めが先立つ。そうではなく,「どうしたら良くなるか?」と考えようと働きかけることである。なかなか組織が疲弊してしまうと,そうした人も出てこないことになる。
(続く)
「負のサイクル」に陥っていませんか?
一生懸命頑張っているのに,成果が出ないことはありませんか?
[Reported by H.Nishimura 2010.10.25]
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