■サブリーダの役割 (No.187)

サブリーダの役割を前回,前々回で述べたが,現場の第一線の状況から一般的に言われていることなどを交えてまとめてみた。今回はその最後として,一般的な書物にはそれほど記述はされていないが,非常に重要だと感じていることを述べてみたい。

  自信を持つ

サブリーダとしては,現場第一線のリーダであると述べたが,この現場第一線のリーダが自信を持ってプロジェクトを進められているかどうかは,メンバーの士気に大きく左右する。つまり,サブリーダが自信を持って,指揮命令している場合は,メンバーも活き活きとした活動展開ができ,上手く前向きに進む場合が多い。ところが,問題が山積,或いはどうもプロジェクトの雲行きが良くないなど周囲の状況もあるが,サブリーダがプロジェクトを成功させる見込みを十分持ち合わせず,何となく自信が感じられない振る舞いをしていると,その指揮がメンバーにも伝わり上手く行かないことが多い。結果的にそうなってしまうのかも知れないが,プロジェクトを見て,サブリーダの自信度合いを見れば,成功するか否かが判るような気がしてならない。

これは何を意味するか?つまり,プロジェクトは未知なものへの挑戦であり,誰しも上手く行くかどうかは判らない。プロジェクトの途中でいろいろなリスクが顕在化したり,問題が振って掛かってきたりと変化が伴う。そうしたとき,現場を預かる第一線のリーダであるサブリーダがどっしり構えていて,何とかして成功してみせると自信を持って事に当たることは,非常にメンバーにとっては必要なことであり,こうした自信あるリーダの下では,自然とモチベーションが上がる。このモチベーションが高いことは,プロジェクトなど進める上での非常に重要な一つのファクターであって,これが成功への動力源となる。

つまりチーム内でモチベーションが高まることは,各人がそれぞれの仕事において前向きに取り組む姿勢を見せることであり,この力は何者にも変えられない非常に力強いエネルギーとなる。そうなると,多少のリスクが顕在化しても,或いは問題が降り注いできても,それらを跳ね除ける力があり,とにかく前に進むことが着実に行われる。これが重要なことなのである。

モチベーションを高めようといろいろな方策が採られることがあるが,これまでの経験から推察してみると,サブリーダの自信の度合い,それを推し量ることでチーム内のモチベーションの高さを見通せる。

  いつサブリーダに任命されるかも知れない

サブリーダは次のリーダへのステップである。したがって,リーダからの指示で動いていたメンバーと違って,自ら考え,判断を求められることがある。現場第一線では列記としたリーダで,プロジェクト全体から分解された一部分のパートを全面的に任されることがあり,このまとめ役を果たさなければならない。こうしたサブリーダへの任命は突然やってくることがある。

技術的な内容を一番良く把握できている人がサブリーダとなるケースは多いが,昨今のスピードを要求される時代であり,技術力よりもメンバーの力を一番発揮できる布陣が求められており,全体をまとめる能力が高ければ,サブリーダに任命されることもある。また,ネガティブな発想であるが,サブリーダと雖も,非常にストレスが掛かることが多く,プロジェクトの途中でダウンする人もときには居る。こうした場合には,誰かがその代役を果たさなければならない。つまり,メンバーの誰しもが,サブリーダに任命されるチャンスは多いのである。

任命されてからあわてて準備しているようでは遅い。日頃から常に,自分がリーダ,サブリーダだったらどのように振舞うかを常に描いておくことが大切である。そうした日頃の心の準備は,自分を成長させる意味でも大切なことである。常に,一段上の目線でどうすべきか,どう判断すべきかを考える訓練をしておいて欲しい。

もちろん,サブリーダがリーダになる場合も同様である。つまり,メンバーとして自分の力量で仕事をすることから,メンバーの力を上手く活用することで,全体として最大限の力を発揮するやり方のコツを知って仕事をすることへの変身が必要なのである。意外に多く見られるのが,いつまでもメンバーの延長線上で,自分が何とかしなければならないとの思いが強く,チーム全体では空回りしているケースである。頭の切り替えが必要なのである。

成功することに自信を持っていること

サブリーダは突然やってくる,常に心の準備を

 

[Reported by H.Nishimura 2010.09.27]


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