■サブリーダの役割 (No.186)

プロジェクトを進める場合,プロジェクトリーダが決まっていて,そのリーダの下に多くのメンバーが居て,リーダの指揮の下にメンバーが活動することになる。プロジェクトの内容にも依るが,そのメンバーが大凡10人以上になると,リーダがメンバーの活動内容を一つひとつチェックすることはなかなか難しいのが実態で,そうした場合,リーダとメンバーの間にサブリーダが存在して,そのサブリーダがメンバーの活動を見る役割を果たすことになる。そこで,このサブリーダとしての役割がどんなものかについて考えてみる。

  リーダの参謀役

サブリーダの位置づけから,プロジェクトの成功に向けて,リーダを補佐し,メンバーを上手く動かせて,計画したことが着実に実行できるようにする役目を担っていることは明らかである。したがって,サブリーダとして任命されたならば,リーダと一心同体になって,プロジェクトの成功に全力を注がなければならない。

プロジェクトはその過程で,いろいろなリスク・課題があり,時には大きな壁にぶち当たることもある。そうしたとき,リーダの指示を待つだけではなく,自らがリーダになったとして,どのような打開策を打つかなどを考え,リーダに進言することも必要なことである。また,リーダのやり方に疑問を抱いたときは,常に疑問を抱えたまま従順に従うだけではなく,疑問を素直にリーダに打ち明け,互いが十分納得することも必要なことである。

つまり,サブリーダはリーダにとって,プロジェクトを進める孤独な戦いの中で,名参謀役的な働きをして欲しいのである。

  メンバーの実質的リーダ

サブリーダとは,大きなプロジェクトでは,メンバーから見ると実質的なリーダ的存在になる。つまり,メンバーへの直接の指揮命令はリーダではなく,サブリーダから発せられることになる。また,時には,組織間,或いは物理的に離れた部署を横断した形で,プロジェクトが行われることもあり,こうした一つひとつの集団にサブリーダが居ることもあり,最小単位の集団のリーダ的立場であることもある。

サブリーダなので,基本的にはリーダの方針に沿ってメンバーを動かせ,リーダの狙っている目標達成を目指すことになる。プロジェクトを進めていると,外部環境,内部環境の変化から,いろいろな問題が出てくる。こうしたとき,内部からの問題は,できるだけ自分がコントロールできるサブチーム内で治めたい。しかし,問題の大きさではサブチームでは処理しきれないケースもある。こうしたとき,素早く判断してリーダに報告,連携することが重要である。何でもすぐ上に上げるのではなく,且つ,手遅れにならないまでに報告する,このタイミングが重要である。

また,外部環境の変化はプロジェクト全体の問題として上から降りてくることが多い。これにもいろいろなケースがある。ときには,サブチームの仕事をストップしてでも,違う仕事をしなければならないこともある。或いは,メンバーの一部を他チームへ応援をさせなければならないこともある。こうしたときの指示の仕方一つで,大きな影響が出ることがある。つまり,リーダから言われたことをそのまま上からの指示だからと言うのは簡単だが,メンバーはなかなか腑に落ちないことがある。そうした場合には,全体の状況を詳しく説明したり,或いは,自分自身の判断としてそのような決断に至った経緯を納得してもらえるように話すなど,リーダとしての役割をきっちり果たすことが重要である。こうした地道な仕事がサブリーダの役割の一つでもある。

もちろん,サブチームのメンバーの指導・育成は重要な役割であり,メンバーが成長することが,チーム全体にとっても良いことであり,プロジェクトを通じて,どんどんメンバーが成長して,次のサブリーダができるようになってもらうことである。

  自分で判断する

メンバーで居るときは,上からの指示で動けば良いが,サブリーダになると内部での問題への対処を判断しなければならない場面が出てくる。つまり,問題の大きさ,影響の大きさなどを素早く見極めて,より良い対処を判断して,メンバーに指示しなけれならない。メンバーを信頼して任せることも必要なことであるが,責任は自分が持たなければいけない。

サブリーダに成り立ての頃は,なかなかこうしたメンバーで居たときとの切り替えができない。メンバーがやったことだから自分には責任が無い,と思ってしまうとメンバーからの信頼が得られない。たとえメンバーが判断ミスしても,それは自分が判断したことになる。つまり,メンバーが判断したことでも,自分はどうするか判断し,間違っていると思えば,訂正して指示することが必要なのである。

自分で判断しようとすると,全体をよく見ていなければならない。起こった現象だけに注目していると,その奥に潜んでいる大きな原因を見逃すこともある。或いは,起こった部分だけで対処しようとすると部分最適であっても全体最適にならず,プロジェクト全体では足を引っ張ることになってしまうこともある。そうしたことにならないように,一段上,つまりリーダの立場に立って自分ならどうするかを考えて判断することが必要なのである。

(続く) 

サブリーダはリーダの第一歩,しっかり役割を果たそう 

  

[Reported by H.Nishimura 2010.09.13]


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