■プロセスの改革 2 (No.183)
プロセスの改革について,話を続ける。
改革のシナリオはできているか
改革をしようとする場合,今までとは非連続的なことをしようとするのだから,最終の目指す姿に向けてどのようなステップで進めようとするのか,きっちりとしたシナリオが必要である。きっちりできているかどうかは別としても,やろうとするメンバー共感を与え,やろうとする気持ちが持てるようなストーリー(道筋,シナリオ)が必要不可欠である。
つまり,改革への道筋が立てられていて,途中,困難や変更を余儀なくされることはあっても,大筋の道筋は間違っていないようにできるようにしておくことである。こうしたシナリオが無いと,前方が見えなく不安に駆られることが起こる。どうでなくても困難な改革をやろうとしているので,そう簡単に前に進むばかりではない。
また,そのシナリオを具体的に進めるためのリソースが十分備わっているかと云う点も非常に重要である。やる気がいくらあっても,それを実行するメンバーが居なくては改革は進まない。よくある話だが,改革をやることには賛成だが,いざやろうとするとメンバーがその改革の仕事に時間を割かれることになり,それはできない,と云った話がある。総論賛成,各論反対である。改革をやるのだから,当然そのためにはエネルギーが必要で,リソースとしてメンバーの確保は不可欠である。
また,改革のシナリオがメンバーへ周知徹底できているかどうかも重要で,組織を挙げて改革をするのだから,その背景・目的など,将来どのような姿を目指しているかを十分認識しておくことは当然のことである。しかし,なかなか周知徹底は難しい。一度説明すれば済むと云ったものでなく,メンバーの中に腹落ちして,絶対にやらねばならないと云う気持ちにまでさせられるかどうかである。でも,こうした準備を怠ることなく進めなければ,改革は進まないのである。
外部(コンサルタント)を使うときの問題点
改革をする動機はいろいろあるが,なかなか内部で改革をやろうとしてもできないので,外部の力を借りようとするケースがある。つまり,外部の圧力には弱い,特に,一流のコンサルタントなど,ネームバリューを利用して改革をしようとすることがある。
こうした外部コンサルタントは,改革のプロで,いろいろな場面に遭遇しているので,その会社に合ったやり方を勧める。どちらかと云えば,改革のやり方が判らず,改革のシナリオから実行まで一部始終を依存してしまうケースが多い。その場合,高額の費用を掛けることになるので,一定の改革は進むことになるが,注意すべきポイントがある。
@改革シナリオなど考える部分を依存することが多いが,それを修得できるメンバーを付けているか
外部コンサルタントが改革の段取りをしてくれるので,任せきりになって,自分たち自らが改革をやろうとしている気持ちになれるか。また,改革のやり方などノウハウを修得する責任者を決めて,改革が継続されるようにできる体制ができているか,どうかである。こうしたことができていないと,外部コンサルタントが居る間は改革が進むが,居なくなった途端,元の木阿弥に戻ってしまうことになる。
A依存部分が大きすぎないか(自社に取り込む体制は十分か)
改革の上手いやり方を依存するのは当然としても,すべて依存型になってしまうことは良くない。依存する部分は必ず引き継げる体制を準備し,自らできる部分はどしどし提案して,指導してもらうような気持ちが大切である。外部コンサルタントは,いろいろな場面を経験しているので,また問題に対する豊富なデータベースがバックにあるので,如何なる問題にも上手く対処してくれる。但し,逆な見方をすれば,自社にとってベストな方法が新たにあっても,これまでの経験からベターな選択をすることが多い。つまり,依存すればするほど一般的な解は出てくるが,自社に合ったベストな解は自らが作り出そうとしない限り出てこないことになる。
B自分たちでカスタマイズな改革の提案をできるか
最終目標は自分たちで改革が継続してできるようになるかである。そのためには,改革のやり方を教わることは必要だが,自らでカスタマイズした改革提案ができるかどうかである。いきなりはできなくとも,こうしたチャレンジができないようでは,改革が継続できる力が付かない。自社のことは自社で何とかやりきりたい,と云う強い思いを持った人が先導に立ってやるべきである。
C外部(コンサルタント)が居なくなった時点以降の展開が準備されているか
外部コンサルタントを使う場合,大切なことは,外部コンサルタントが居なくなったときに,自らの力で展開する能力がついているかどうかである。これは上述したコンサルタントへの依存具合に依るが,組織内の反対勢力の大きさにも依る。つまり,反対勢力も外部コンサルタントが居るときは圧されてしまっているが,居なくなると急に勢力を盛り返してきて,改革しようとする以前の状態に戻そうとする。また,こうした反対勢力が強くなくても,改革の継続が続かないこともよく聞く話である。やはり長年培われてきた風土・文化を変革することは,そう簡単に1,2年でできないことを意味している。これらは,幹部層が会社をどうしようと考えるか,それによって大きく違ってくるので,幹部層含め,改革の位置づけ,継続のあり方を予め十分検討して,外部コンサルタントを使うようにしなければならない。
D要求を突きつけ,吸収できることを十分に得られているか
外部コンサルタントには高額の費用を払っているので,その間に遠慮なくこちらから要求すべきことを突きつけるべきである。もちろん,要求を突きつけるには,こちらもそれなりに勉強して知識を付けておかねばならない。だが,こうした機会を上手く捉えて自分を磨くことをすることも大切である。
外部コンサルタントのレベルはいろいろである。優秀なコンサルタントは,教えることで自分たちも学んでる。だから,こちらからいろいろな要求を突きつけることは,むしろ歓迎されることが多い。つまり,どんなことを要求されるのか,それら要求事項から次の一手を考えている。だから,コンサルタントとは密接なコミュニケーションを図って,お互いのメリットを分かち合うくらいの気持ちが必要である。
(続く)
コンサルタントを上手く利用していますか
コンサルタントの居なくなったときの継続体制が検討できていますか?
[Reported by H.Nishimura 2010.08.23]
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