■展示会における新しいやり方 2 (No.167)
前回,顧客と企業側が事前にやりとりができる便利な事例を紹介したが,今回は企業側で見た情報を紹介する。
マッチングした顧客のデータを一覧で見ることができたので,そこに書かれていた項目の一つに,顧客が抱えている課題として,アンケート形式で幾つかの項目から3つの課題を選択することになっているものだった。そこで,これは顧客のニーズを理解する上で貴重な情報と判断して約200人のデータから整理をしてみると次のようになった。
課 題 比 率 開発プロセス全体での生産性を向上させたい 41% ソフトウェア品質の確保・向上を図りたい 30% 開発コストを削減したい 23% プロジェクトの改善を行いたい 19% 欠陥(バグ)を早期発見したい 16% 組込み技術者の確保・育成に苦慮している 15% このデータから次の情報が得られる。
- 企業に来られる顧客の一番関心がある課題が,「開発プロセス全体での生産性を向上させたい」(約40%)
- 顧客の3人に1人が抱えている課題は,「ソフトウェア品質の確保・向上を図りたい」
- 他に主な課題として,上表のようなものがある。
このように,顧客一人にひとりに対応することも大切だが,全体を大きく括ってみるとこのような情報が得られる。これは,展示ブースに来られる顧客の概略の傾向が予め予測できる。つまり,こうした課題に対応できるソリューションを準備すれば良いことがわかる。
そこで一番の課題とされた「開発プロセス全体での生産性を向上させたい」について考えて見る。この話題は,このコーナーで既に5回に亘って述べている。そこで,なぜ,これが一番に上げられるのか,その理由を考えてみると,以下のようなものがある。
@ 企業の成長が大きく伸びない中で,如何に生き残るかの競争が激化している
A 開発プロセスとして最後に行き着くところが生産性になる(QCDから始まって・・)
B 個別の問題を抱えていても,生産性がオーバーラップすることになる
C 現場で一番悩ましい,且つ,なかなか奥深い課題である
D 生産性向上が言葉の響きがあり,一番目に付きやすい(日頃から言われ続けている)これから言えることは,「生産性向上」が身近な話題になってきていることを物語っている。これは,このコーナーで既に述べてきたことが,多くの顧客の抱えている課題と一致しており,このコーナーを読んで頂いたら,その解決策が見つかるかも知れなかったのに,と云う思いである。
(続く)
展示会の新しい仕組みのデータを情報に変えてみました
[Reported by H.Nishimura 2010.05.03]
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