■新政権発足に思うこと (No.137)
政権交代が実現,第93代内閣総理大臣に鳩山氏が誕生した。内閣支持率も70数%台とかなり高率である報道がなされている。TV報道でも新大臣が新たな方針を具体的に示し,自由民主党時代から代わり,脱官僚政治を目指す姿が出始めている。
改革とは
改革と云う言葉がいろいろな場面で飛び交っている。正しく政権交代で,明らかにこれまでの自由民主党路線とは違ったやり方でやろうとしている。これこそ,人も入れ替わった改革と云うべきものである。物事をいろいろ変えようとしてもなかなか変わらないのが世の常である。自由民主党が変わる変わると云いながらも,なかなか変わりきれなかった。小泉構造改革で変わったかに見えたものも,小泉さんが総理の座から外れると,次第に元の派閥体質の自由民主党に戻ってしまった。改革には必ず反対勢力があって,揺り戻しが必ず起こる。この状態に嫌気がさし,国民が新たなやり方で一度やらせてみようとしたのが今回の選挙の結果だった。
だから,民主党のやり方で,一度思いっきり政治主導の名の下に頑張って欲しいと大多数の国民が思っている。自由民主党と違った政治をやり遂げること,これが改革であり,政権交代の意義するところである。自由民主党とできるだけ違った方がよい。同時に,一時的なことでなく,継続して根付かせて欲しい。日本の政治が改革されることで,新たな日本の将来が見えてくる期待が大きい。その期待に是非応えて貰いたい。
国民が期待するもの(反自民)
今回の選挙で民主党を入れた人の多く,特に無党派層の人たちは,自由民主党のやり方に“No”を突きつけた。つまり,民主党のやり方が良いから民主党に勝たせたのではなく,反自民として民主党に入れたと云う人も結構居る。得票数でも判るように,当選者数の比ほど得票率の比の差はない。小選挙区制だから今回のような,民主党が圧勝になったのである。
だから,鳩山総理も口にしているように,勝って奢ることなくマニフェストで掲げたことを着実に実行することによって,国民の信頼を勝ち取ることが大切なのである。民主党の経験不足に不安視する声も大きい。しかし,報道で見ている限り,大臣の動きなどを見ていても,今までとは違って,何かをやってくれそうな雰囲気が漂っている。そうした姿だけでなく,実際に行動で政策を実行して,さすが民主党政権に代わって良かったと国民が感じることを一つでも二つでも,できるだけ早いタイミングで見せて欲しい。その小さな成功の積み重ねが国民の信頼を築く原動力である。先ずは,年内までに良くやっていると評価されるようなことを大いに期待したい。
民意と云うと,みんなの声を反映した良い政治のイメージであるが,民意ほどいい加減なものはない。民意を大切にする気持ちは大切なことであるが,民意にふらつくようなことでも困る。しっかりとした芯の通った将来の日本を見据えた政策を実行して欲しい。民意ほど自分本位なものはない。それが多く集まるから大きな力になるが,一つひとつすべて聞いていたのでは限りなく,日本として全体を考えることができるのが政治家であって,そうした国家を思う信念を貫いて欲しい。
脱官僚とは
脱官僚と云われる基は,自由民主党のこれまでの政権は,官僚主導で動いていたとされる。つまり,トップの大臣は顔だけで,実権はその下にいる官僚が握っていて,官僚の言いなりに大臣が動いているだけであると思われている。確かに,官僚は大臣の下で働いてはいるが,ころころ代わる大臣と違って,官僚は各々が専門分野で何年も働いている。だから,どうすれば良いかが判っている。つまり,自分たちの不利益になるようなことはしない。これは官僚からではなく,一般の民間のサラリーマンだって同じである。
民間との違いは,官僚の活動は税金を使って国民のために働いていることである。この基本がなく,それよりも先に自分の利益が来るようでは官僚としては失格である。官僚経験があるわけではないのでよく判らないが,やはり長年務めていると,周りの雰囲気,つまり官僚としての風土・文化が染み込んでくる。そうすると,ころころ代わる大臣よりも,自分たちのトップの言質の方が重く,重要になってくるのは当然である。入ったときの国民の為に奉仕する精神,或いは国家のためにと云う高邁な精神も変化しているのであろう。
脱官僚と云う言葉は,明らかに官僚のやり方を批判した言い方であり,これまで報道などで聞かされている官僚のやり方をじっくり見ていると,民間の感覚では到底理解し得ないものがあることも事実である。もちろん,見えない部分で一生懸命国民のために働いている姿もあるはずである。だから,脱官僚は官僚の全てが悪いと言う見方ではなく,これまでの古い自由民主党時代の官僚の国民を無視したようなやり方を大いに変え,新しいスタイルで,官僚を使ったやり方をやって欲しいものである。
官僚を抜きにしては上手く行かないことが多いのではないかと感じる。つまり,経験豊富な官僚,これも我々の税金で仕事をしてもらっているのだから,活躍して貰わなければ困る。国民目線に立った政治主導で,国民の生活を豊かに,かつ一生懸命働くものが安心して暮らせる日本社会のために頑張って欲しいものである。官僚たちも戦々恐々しているのではなく,自らの意識改革をして政権与党と一緒になって日本のために活躍する気概をもって欲しい。
世代交代
今回の民主党政権になって一番感じることは,派閥の領主のような古参の人がそれほど居ないことである。小沢一郎という大物中の大物が居る事実はあるにしても,若い世代が活躍できる期待ができそうである。このことは,古参の人を蔑ろにすることではなく,そういった人の知恵は大いに借りながらも,50代,60代の人が中心になって新しい日本を動かしている姿が実感できる。
自由民主党の一番の欠陥は何かと云えば,派閥のドンが何かと口を出すことである。経験が豊かなので,云いたいことがあるのはよく判るが,やはりじっと我慢して次の世代にバトンタッチすることが必要なのである。50数年も続いた与党の弊害が当にそれである。世代交代は民間では当たり前で,若い世代が社長を務めることはごく自然なことである。民主党には是非,この世代交代を上手く採り入れながら,新しい日本を築いて行って欲しいと願う。
とにかく年寄りが出しゃばる状態はどこでも歓迎されないし,どんよりと沈んだ雰囲気を醸し出す。それと比較して若い世代が活躍しているとみんなが元気になる。すべて若い世代が良いとは限らないが,多少のことは目をつぶって若い世代に頑張って貰うこと,これが今の日本の政治に最も求められていることである。オバマ米国大統領は40代である。それを思えば,鳩山総理でも年寄りになる。もっともっと若い世代,40代,50代の人が政治を動かすような日本に少しずつ変わっていって欲しいものである。
鳩山新政権の活躍を願う
[Reported by H.Nishimura 2009.09.28]
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