■プロジェクトの成功 2 (No.119)
自信度が成功に影響することは理解できても,実際問題としてどうすべきかと云うと,また別の問題が出てくる。
自信度の把握はどのように
リーダやサブリーダの自信度を,誰がどのように把握するのか,と云う疑問が生じる。しかも,できるだけ本音が入った自信の度合いが測りたいのである。なかなか本音の自信度は言いたがらないのが人間の習性である。しかし,知りたいのはその部分であり,それをどのようにして引き出すかである。例えばリーダの上司が,各人の自信度を聞いたとするならば,上司と云うこともあって,見栄の部分やそれで評価されるといった思惑など,高めの自信度が出てくる場合が多い。リーダがサブリーダに直接聞いても同じようなことが起こる。メンバー間でお互いに言い合っても,どれだけ本音に近い部分が出てくるかは疑問である。メンバーで飲み会でもやってその中で,どの位自信あるか,本音で語り合える機会があれば,それも一つのやり方だろう。或いは,メンバー間の会話が本音に近い内容でコミュニケーションができているチームであれば,相互に言い合っても良いかもしれない。また,コンサルタントのような第三者が居る場合,そのコンサルタントが上手く本音を引き出すことも可能かも知れない。
アンケート形式で応えて貰う場合は配慮は要らないが,順番に自信度を聞く場合は,その順番で変わってくる。最初の人がキーで,その人の答えにみんなが引きずられる可能性は高い。横並び意識の現われであり,元々厳密な計算をして出すものではなく,感覚的なものを尋ねるのだから,当然と云えば当然のことである。順番に聞く場合,一番キーマンと思われる人に最初に尋ねるのが良い。みんなに引きずられることなく,自分のそのときの感覚で答える可能性が高いからである。また,こうした感覚的な答えと云うものは,性格的なものを配慮することが必要である。性格的に遠慮がちな人とそうでない人では自信度は違ってくる。どうしても,遠慮がちな人は自信度が低めになりがちである。それは考慮しなければならないのは事実だが,リーダやサブリーダとして振舞うことを考えれば,そうした遠慮がちと云うのは士気にマイナスに働くことが多いので,答えのままの自信度で測っても大きな間違いが無いとも云える。
自信度を把握した後での行動は
次に,自信度が大枠測れたとして,その後どうするかである。まず,自信度の裏返し,自信の無い部分がいくらかあると云うことになる。つまり,自信の無い部分が,プロジェクトのリスクになったり,課題であったりするのである。この部分がどのようなことなのか,チーム内で明確にして,取り除ける部分や,手助けできる部分があったらお互いに補うことである。単に自信度が高い,低いとそれだけで悲喜こもごもしていてはいけないのである。自信のないある部分は,未だ未確定な部分で,今後どうなるか判らない,と云った不安定な部分のこともあるだろうし,技術難易度が高く,今現在では見通しが立っていないと云ったこともあるだろう。もともと開発とはそうしたものである。判らないことに挑戦するから,すばらしいものが創出されるのである。それがまた,大きな喜びに変わるのである。だから,ある程度経験を積むと,多少の不安な要素も,励み甲斐があってチャレンジ意欲が沸くと云うことになってくることもある。だから,未確定要素=自信ない,とは限らないのである。何とかその難関を乗り越えてやろうとする意欲が高ければ自信に変わってしまう。そうした自信をもってことに当たると,不思議と解が見出せ,展望が拓けるのである。そうした意味で,自信度は大切なものでもある。
自信度を上げる方策
自信の無い部分を少なくする以外で,自信を上げる方策にはどのようなものがあるだろうか?その一つは,小さなことでも上手く行ったと云う自信を徐々に付ける方策である。つまり,最終ゴールではなく,身近なゴールを設定し,それに集中させ,クリアできることで,自信を持たせることである。改革の手法でよく用いられる手法だが,小さなことからどんどん大きなものへ拡大していくやり方である。人間は感情の動物であり,上手く行きよい気分になると,ますます乗ってくる部分がある。こうした人間の心理を上手く活用して,自信をどんどん大きくさせていくことである。特に,若い経験が不足している人には特に有効な方法で,ひいてはその人を大きく成長させるトリガーにもなることがある。
また,初めてリーダやサブリーダをやる人などに多いのは,自信が持てない裏返しは,経験が十分無い不安な要素,それもこれと云った特別な要因が無くて自信がないこともある。つまり,リーダは孤独でなかなか相談相手が居ないことがある。上司からは厳しい要求を追求され,部下からは振る舞いなど自分の劣っている部分を指摘され,中間的な立場で悩みも多いのが実態である。こうしたとき,上司,部下でなく,相談相手的な人が居ることは非常に心強いものである。つまり,自分のやり方に共感をしてくれたり,時には指摘をして忠告をしてくれたりとこうした人物を見つけておくことは,自信につながる要素でもある。こうした工夫をリーダ自身が心掛けておくこと,或いは上司として自信を持たせるために,そうした相談相手,或いはコンサルタントを準備しておくことも有効な手段の一つである。
自信はプロジェクトだけではない
こうした自信度をプロジェクトを中心に述べたが,決してプロジェクトに限ったことではなく,我々の日常生活でもよく起こる事象である。つまり自信を持って何か事に当たることが,上手く行く大きな要因になることがある。自分の日頃の生活の場面を思い起こして貰っても,よく理解できるのではないだろうか。自信,やる気,こうした気持ちの部分を大切にし,有効に活用したいものである。
自信を持って事に当たること,これは重要なことである。自信を持つと何事も上手く行く
[Reported by H.Nishimura 2009.05.25]
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