■組織変更 2 (No.113)

  組織変更のタイミング

4月に入って新しい組織で仕事を始められたところも多い。新しい事業年度なので,新体制で新たな気持ちでと張り切っている人も多いだろう。新入社員が加わり,気分一新と云う方もいるだろう。これまでの経験での話しになるが,組織変更は4/1付けでは遅いことがある。その理由は,新しい事業年度が4/1から始まるためには,その事業計画は始まってから立てるのでは,立てて全員に徹底するまでに時間を要する。規模の小さいところはそれほど影響は少ないが大きい事業体では調整など時間を要し,すぐに1カ月程度経ってしまう。つまりその間ロスタイムが発生する。もちろん,遊んでいる訳ではないが,少なくとも新しい事業での方向付けなどあるのと無いのではやはり成果に影響が出る。1年12カ月の内1カ月もそのような状態ではやはり問題と言えよう。

もう一つ,予算などの関連である。予算は,4/1までに決められていないと,施行できなくなるので,新年度までに検討がなされる。その場合,組織変更が行なわれ,組織長などが変わる場合,前任者が計画を立てることになる。つまり,新しい体制は前任者が計画した予算で1年間を過ごすことになる。組み換えを行なう場合もあるが,結構なロスである。新しい事業計画と予算は連動している。それを自らが計画せず前任者が立てた計画を実施するとなると,問題が無い場合はよいが,問題が起こったり,計画外の事態が発生すると前任者の責任になすりつけてしまうことが行なわれる。やはり,少なくとも事業計画と予算は自分が立て,それをトップにコミットメントしてやるのが正しい姿である。組織変更が遅れてタイミングが狂うとこうした問題が出てくる。

そこで,大きな事業体は,事業計画,予算計画を立てる前に組織変更を行なう。そうすると,4/1以前の何ヵ月か前に組織変更を行なう。そして,4/1からの新体制に則した体制で,事業計画,予算計画が作成される。そうすると4/1からの新体制が,自らが立てた事業計画,予算計画でスタートすることになる。ここでのロスは全く無い。もちろん,その前の組織変更時にロスが全くないかと云えば,そうではない。しかし,同じロスとしても,事業計画の運用から考えると,事前に組織変更を実施した方が良いことが判る。

組織とは,いつも自然にあるようなものと若い人は考えがちであるが,経営にとっては非常に重要な意味合いを持つ。大きな会社はすべて,早めに組織変更しているかと云えば必ずしもそうではない。4/1で組織は変わったものの引継ぎや仕事内容の変更によって,ゴタゴタしているところが多い。当に,今現在,自分達の職場を見てどうなのだろう。まだ,新体制で混沌としているところがあるのではないだろうか?そうした会社は,よほど儲かっている会社か,或いは全然儲かっていない赤字続きの会社か。厳しい競争に晒されている会社においては,こうした一瞬の緩みがないよう,トップから引き締めが掛かっているはずである。組織変更と簡単に思っても,こんな問題が潜んでいるのである。

  組織変更の徹底

組織変更があった場合は,組織責任者はメンバー全員に新しい組織のミッションをきっちり伝え徹底しなければならない。組織の目的は会社のミッションを実現するためにあると云ったが,その中で新しい組織変更された目的を良く理解し,責任者としてどのようにする,或いはどのようにしたいと考えているか意思表示が重要である。組織のトップでメンバーが多ければ多いほど,早く全員に徹底することが必要である。

なぜなら,組織変更は会社のミッション実現の最良の体制であり,その意志はなかなか下へは伝わらない。だから,全員を集めての集会などで,方針めいたことを全員に徹底することが極めて重要な意味を持つのである。組織は階層になっており,その階層において,そこに居る責任者の思いが加わる。良い意味でメンバーに伝わるとは限らないからである。

(続く)

あなたの職場では組織変更はいつでしたか?

新しい体制でのスタートが確実にできていますか?

 

 

[Reported by H.Nishimura 2009.04.13]


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