■選抜高校野球の応援(甲子園へ) (No.111)
母校(彦根東高)が56年振りに甲子園へ出場,その応援に駆けつけた。
県下有数の県立の進学高校として文武両道,場所は彦根城の堀の中にある。殆どが大学に進学するので,私たちの時代はスポーツはそれほど盛んで無かった。野球は殆どが1回戦で敗退。メンバーが揃うか揃わないかと云った有様であった。しかし,56年前になる私より10年程前の先輩が,甲子園に出場していた。僅かに覚えているのが,中川と云う優秀なピッチャーが居て,それで甲子園に出られたとか。その後,中川投手は毎日オリオンズへ入団し,翌年,昭和30年(1955年)には,パリーグの最優秀防御率投手(2.08)に選ばれている。その後の3年は,連続してあの「神様,稲尾さま」と呼ばれた稲尾投手が獲得している。
これまでの成績は甲子園では1勝もできず,いずれも完封負けで得点さえ取れていない。今回は,21世紀枠で,56年ぶりに甲子園に出場が決まった。最近は,県下でもそこそこの成績が残せており,昨年夏は県下の決勝戦で敗退していた。秋の近畿大会にも何度か出場はしている。しかし,あと一歩が届かず,甲子園への道は遠かった。これまでにも21世紀枠の候補にも近畿では数回選ばれている。今回は秋の近畿大会では強豪,東洋大姫路に1回戦で負けてしまっている。しかがって,どうかと思われたが,これまでの実績から21世紀枠では真っ先に審査員に認められたのだった。
甲子園出場が決まるや否や,同窓生の仲間が是非甲子園へ応援に行こう,と云う呼びかけがあった。実は,私たちの同級生一同,500人が居るが,東京を中心に関東圏に150名弱,京阪神にも100名を超える仲間が居る。約半数しか県内には止まっていない。同窓会は卒業30年後から5年毎に行われており,3男前に3回目が行なわれたが,毎回200人程が全国から駆けつける。団塊の世代の走りで団結力は極めて高い。ホームページも運営していて,毎日バーチャルの同窓会をやっており,同窓生であれば自由に書き込みができる掲示板がある。私たち60才を超える年代では,パソコンを自由に操れる人はそれほど居ないが,約半数の人が一度は眺めたことがある。毎日のようによく見て,書き込みもしている人もおり,情報源などとして活用している人は100人弱である。
そんなホームページを通じて,甲子園で応援する呼びかけに,50人程が応え,彦根からバス1台の大部分を占めて応援に駆けつけた。京阪神の仲間は,私も含め,直接甲子園へ行った。改装された甲子園は今回の選抜がお披露目である。観客席もゆったりしていた。緑の芝生も映え,すばらしい球場に改装されていた。その一部をお届けする。21世紀枠の代表なので,力及ばず完封負けをしないか,仲間のみんなも胸のうちはハラハラドキドキで心配もあったが,好投手が居るので,そこそこの試合はできるのでは,との期待もあった。第三試合,一塁側のアルプススタンドへ入れ替わりに入る。その前に,申し込みをしていた応援グッズとして,真紅のジャンパー,真っ赤な帽子,メガフォンが渡される。もちろん,出場が決まるや否や甲子園出場実行委員会が結成され,卒業生には出場応援の寄付金を募り,バス50台で駆けつけたと言う。あっと云う間にスタンドはぎっしり埋まり真っ赤である。自分の位置からはなかなかその壮観さは見られないが,多分テレビには見事な真っ赤なスタンドの応援席が映っているだろうと想像する。後から,席を離れその姿を撮ったのが,下の1枚である。
選抜高校野球のスタンドでの観戦は初めてで,攻撃の度にブラスバンド,チアガールを交えた応援合戦が繰り広げられる。選手と応援席が一体となって戦う。「かっ飛ばせ○○」と大きく書いたパネルをアルプススタンドの一番下で野球部員が合図する,それに合わせてメガフォンで一斉に大声をあげる。3500人とも云われる大応援団が声を張り上げる。しかも真っ赤な情熱を示す中からである。選手にもその熱気は届くはずである。私は,ホームページに載せる写真を撮ろうと300mmの望遠レンズで選手の一挙一足の動作を追いかける。しかし,一番盛り上がる部分は応援席のみんなが立ち上がって歓声を上げるため,写真を撮るのには無理な環境になってしまう。それでも100枚以上の場面をカメラに収めた。
試合の方は,非常に見応えのある展開だった。まず,4回に1点先制するも5回に2点入れられ逆転される,同点に追いつくも,再び逆転される。しかし,好投手の痙攣と言うアクシデントにも拘わらず,8回に再び今度は逆転する。このままとはなかなか行かず,8回裏に同点,そして9回裏にサヨナラ負けを喫した。想像もしなかった熱戦,それに十分とも思える選手の頑張り。とくに,エースのアクシデントで一気に相手側に流れると思われた勢いを,コツコツ基本に忠実に食い下がり,一時は逆転までして後一歩に近い状態にまでできた底力,選手達も思う存分力が発揮できたのではなかろうか。応援席もよく頑張った感動を十分に満喫した人が殆どであった。甲子園での1勝はお預けになった。再び,応援する機会に恵まれたいと思いながら甲子園を去った。
ありがとう甲子園!!高校野球は気持ちを一つにして,感動を与えてくれる
[Reported by H.Nishimura 2009.03.30]
Copyright (C)2009 Hitoshi Nishimura