■ノーベル賞受賞の栄誉 (No.104)
2008年度は暗いニュースが続く中で,ひときわ明るかったニュースが,日本人が一気に4人もノーベル賞の受賞の栄誉に輝いたことだった。これについては,日本人の誇りとして全国民が喜んだ話題だった。
ノーベル賞,日本人4人が一気に受賞
暗いニュースの中で明るい話題は,ノーベル賞に日本人が一気に4人も受賞したことだった。湯川秀樹さんが1949年に物理学賞を受賞して以来,日本人受賞者が15人になった。日本人の得意とする素粒子論の展開で3人の物理学賞受賞で,これは湯川・朝永博士の流れを継いでいる。その中で,南部博士は頭脳流出で米国人国籍になっており,化学賞の下村博士も米国で活躍中である。この点は,日本人がなぜ日本で研究することをしないのか考えさせられる一面である。
また益川博士のノーベル賞を貰っても嬉しくない,と云うのは,島津製作所の田中さんがノーベル賞を貰って,会社の作業服で会見したときを思わせる。彼らにとってはノーベル賞は目指す最高のものでも何でもない。自分の研究の中の一過程に過ぎないようである。ノーベル賞とマスコミが騒ぎすぎる後進国的な感覚を痛烈に批判しているともとれる。ノーベル賞に相応しいと思われる人でも賞に恵まれなかった研究者も多くいるようである。そんないろいろなことがあるにしても,日本人としては嬉しい,明るいニュースだったには違いない。
クォーク
念のため南部博士が書かれた書物「クォーク」を読んでみた。内容的に,何となく判るような気もするが,気持ちだけで殆どさっぱり判らない。ただ,我々の時代は物質は,分子からできており,分子は最小単位の原子から成り立っており,その原子は物質特有の原子核と電子からできていると教わり,その中で湯川博士が中間子論でノーベル賞を取られた程度で,それ以上詳細なものはないと教わった。その後,素粒子論の世界ではいろいろな研究がなされてきているが,私など知る由もなかった。
「クォーク」とは更に,原子核を分解したものである。原子核の中は,バリオンから成り立っており,その中に3個の「クォーク」がある。よくわからないが,基本電荷eの整数倍ではなく,1/3eなどと云った電荷を持つとか?この「クォーク」に関して,益川,小林両氏が1973年に発表した論文の「クォーク」に対する理論(その内容は全く理解できていない)が,今回の表彰の対象になっていると言う。
表彰式とその後
益川博士の歯に衣を着せぬ口調は健在で,ノーベル賞の授賞式に出発する際にも,「来いと云うから行くだけ」と言い,式では「世界に人類の英知を行き渡らせることが大切と訴えたい」と言われているが,受賞記念講演は日本語しか話せないと通訳を付けて日本語で講演された。英語が話せないことは,話せるに越したことはないが,肝心な内容が伴っていれば,決して引けを取らずに堂々としておれば通じると言うことである。(実は,川端康成氏(ノーベル文学賞受賞)も日本語で講演したとか?)
英語ができないことをマスコミが云々するが,益川博士のようにノーベル賞を取るような人は万能で何にでも長けている訳ではなく,ごく一部の才能に突出していることを示している。むしろ親しみを感じている人が多いのではないだろうか。大学の授業も,なかなかの人気のようである。こうした先生が身近におられることは,学生にとっても随分幸せなことである。
ノーベル賞受賞おめでとうございます
日本人として栄誉ある受賞であり,国民を随分元気づけて貰ったと感じている
ますます厳しくなく激動の2009年,明るく前向きに頑張る力を持とう
2009年も,さらに新たなチャレンジを!!
[Reported by H.Nishimura 2009.02.09]
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