■政局混迷の行方 (No.102)
金融不況と共に,国内の話題は政局の混迷である。2008年秋から年末までに衆議院の総選挙が予測され,多くの議員が選挙準備を始めていたにも拘わらず,麻生内閣は先送りをしている。本来,福田首相では選挙に勝てないので,それに代わって誕生したのが麻生内閣で選挙内閣と云われた。ところが予想に反し麻生内閣の支持率が上がらない。上がらないどころか,どんどん支持率が下がり,不支持が圧倒的に多くなってしまっている。
政局混迷
昨年を振り返ると,9月1日福田首相が緊急記者会見を開き,突如退陣表明をした。前年の安倍政権に続いて福田政権も投げだしたのである。その後に登場したのが麻生首相で,いずれも世襲である。安倍,福田元首相は父親が議員であり,特に福田元首相は父親も首相経験者である。現在の麻生首相はお祖父さんが吉田茂元首相である。こうした,二世,三世議員が結構多くなっているようである。
ある人は,現在の状況を徳川末期の症状と似ているとも言っている。NHKの大河ドラマ「篤姫」に出てくる将軍達である。家定,家茂,慶喜で260年続いた江戸幕府を徳川家が大政奉還して幕を閉じる。つまり先祖代々から続いた江戸幕府を立て直しするどころか,潰してしまったのである。それが日本国で起ころうとしていると嘆く人たちである。本来,一国の首相たるもの,そう簡単に投げ出したりしないものであるが,坊ちゃん政治と云うか,一国の総理大臣としては情けない限りである。この状況を,徳川幕府とダブらせるのである。
特に,福田元首相の退陣表明の記者会見で,ある新聞記者が「国民からは他人事のように見えるが」と投げ出し状態を問い質したのに対し,福田元首相は切れて「私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです。」と言い返した。普段は沈着冷静そうに見えた元首相の一瞬の憤慨した様子がテレビを通じて全国民の前に放送された。私もテレビを見ながら,内心思っていた通りの福田元首相の一面が見えたと感じたことを覚えている。
麻生首相は福田元首相と違い明るい調子よいタイプに映っていたが,いざ首相になると,発足時の内閣支持率が50%を切り,その後も漢字の読み間違えなど発言する度に,波紋を呼びどんどん支持率が下がり選挙内閣の役割も果たせそうもない状況で,年末に20%そこそこの数値になっている。当に御曹司の坊ちゃんをさらけ出している。特に,2009年になってますます支持率は下がり,さらにはその不支持率が歴代首相よりも飛び抜けて高い。
一番気になるところは,芯がブレることである。とにかく,言っていることがころころ変わる。世論を気にしたり,周辺閣僚の発言を気にしたり,これが一国総理の発言,行動かと思わせることが度々ある。自分では決断しているつもりなのかも知れないが,本当に日本国を何とかしようという心意気が見えてこないのである。不支持率が高くなる大きな要因である。
民主党の態度
二大政党として期待の掛かる民主党であるが,支持率は自民党を上回っているが,民主党の政策を支持してそうなっているのではなく,自民党のていたらく(ひとい・良くない有り様)ぶりにあきれて支持が下がり,その分,民主党の支持が増えているだけである。最近は何でも反対ではなく,自分たちの主張を通そうと努力はしているが,今一つはっきりしない部分がある。
確かに,ねじれ国会になって年金問題に始まり,いろいろなこれまで曝かれなかったことが白日に晒されて,国民に近い目線での応酬が増えてきてはいるが,まだまだ極一部である。本当の二大政党を目指すならば,もう一つ芯の通った自民党とは明らかに違った政策を国民の前に判り易く打ち出すべきである。国民の多くが,政権が変わったところで何も変わらないと思っていることである。本来,二大政党政治と云えば,政権が互いに変わることで,澱んだ空気をなくし,馴れ合い的な政策ではなく,前向きな取り組みがなされ,より発展していくことである。
過去,自民党が敗れ,日本新党や社会党など野党が政権を取った時代がある(1993.8〜1996.1細川,羽田,村山内閣)。当時は80年代のバブルがはじけた時代で,政権交代で特に国民生活が変わったと云う実感はなかった。ただ,自民党ではない何か寄り合い所帯の政権と云う印象が強かっただけである。いつしか,自民党に戻ってしまっていた。
だから民主党には,二度とこのようなことになって欲しくはない。また,今の民主党ならば,以前よりは優秀な若手議員も多くいるようだし,何かやってくれるのではとの期待感も無い訳ではない。むしろ,若手議員には,自民党か民主党か判らないほど,政権を握っているかのようなしっかりした議員も居ることも事実である。むしろ,それが逆に自民党とどこが違うのか,と疑問を抱かせることにもなっている。国民の期待は,やはり老体にムチを打った政治家ではなく,若い元気な議員が先を見据えて頑張って日本国をリードしていくようにして欲しいと願っている。
2009年は間違いなく総選挙が行われる。我々の手で次の日本を担う首相を選ぶことになる。直接ではないが,当にそうした場面がやがてすぐそこにやってくる。景気対策は最重要課題に違いないが,それと共に,日本国をリードし,過去の栄光ではないが,日本国らしい日本にして欲しいものである。
日本国を立て直す政治家が出てこないものか
世襲政治はいい加減に止めて欲しい
ますます厳しくなく激動の2009年,明るく前向きに頑張る力を持とう
2009年も,さらに新たなチャレンジを!!
[Reported by H.Nishimura 2009.01.26]
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