■共通課題の進め方 (No.085)
各個人に割り当てられた仕事以外に,組織内に共通する課題解決について考えてみる。
日常の仕事は各々に役割分担が定まっていて,いつまでにやらなければならないかが明確になっている。しかし,組織課題など,共通する課題はなかなどそのようには行かない。課題を解決する担当者,或いは主体者がはっきり決まっている場合は少しは前に進むが,課題認識はあっても,誰がやるのか曖昧なままになっているような共通課題が必ずといって存在する。あるいは,日頃仕事をしている中で感じたシステム上の課題や,プロセス上の課題など,簡単に手直しできるものはすぐ解決するが,簡単に一人ではできない課題は,いつまで経っても課題として残っていると云うケースはよくあることである。
それでは拙いと,そうした共通する課題を組織として対応策をいろいろ考えられているが,なかなか上手く進まないのが現状ではないだろうか。例えば,そうした共通課題を課題管理表のようなものを作って,担当者を明確に,期限もつけてやろうとするケースもあるが,この場合も,当初の意気込みのある間は前に進むが,やはり課題としていつまでも解決が捗らず,どうしても残ってしまう傾向がある。
これらの内容をよく見ると,挙げられている共通課題が,千差万別,重要なものからちょっとした気づきのものなど重要さのレベルがまちまちである。こうした管理表でのやり方で一番多いのは課題管理表など管理をすれば上手く進むといった発想である。特に,技術者と云うより管理を得意とする,品質管理などがやろうとする場合,こうしたやり方が多い。確かに,ただ課題があるといった状態よりも,一覧表でまとめられ見える化ができ共通認識ができるのと,担当役割を各々で分担することで明確化されるメリットはある。ただ,この課題管理表を作る程度で改善できる課題はどちらかと言えば小さな課題で,大きな,根の深い,或いは多くの部署に関連する課題は,単なる管理表に挙げるだけでは進まないことが多い。
それともう一つ重要なのは,こうした課題管理表をどのように活かすか,メンバー個々の思いもさることながら,オーナーの認識度合いである。オーナーがこの課題管理表の重要性を強く認識し,部下に各々の課題に対して指揮命令をするようなことがあれば,確実に仕事として指示されたことになり,前に進むことになる。ところが,普通一般には,こうした管理表で管理する課題よりも,重要な,と云うよりも緊急な仕事の話題が一杯あり,メンバーが集まって議論する場があったとしても,この管理表のような話題まで議論できる余裕がないことはよくあることである。
つまり一般的に「重要度」で仕事をするのではなく,「緊急度」で仕事をしていることが多い。みんなでやろうと決めたことであっても,そのオーナーの意思加減によって大きく変わる。どちらかと言えば,余程管理を徹底してフォローする人が居て,常に「重要度」を繰り返し言わない限り,自然と廃れていくのが通常である。
これは当然のことで,決して怠けた人が多いからでも何でもない。共通課題的な仕事をやるにも,それなりのリソースが必要である。課題管理表に挙げ,担当者が決まったといってもその担当者にとっては,余分な作業が追加されたことになる。上述したようにそれを恰も担当者を決めるだけで,できると見なすところに大きな問題が潜んでいる。課題管理表など普通一般に主担当者と期限などが設定され,緊急でない限り十分な日程が取られるケースが多い。そうすると,その担当者も,日程的余裕から,まあ何とかなるだろう的な発想で,受託してしまう。いわば名前を貸すくらいの安易な気持ちである。しかし,いざ実行する段になると,そう簡単ではなく片手間仕事ではできなく,やはり計画的にリソースをきっちり確保した上でやることにしなければできないことがわかってくる。
こうした共通課題の進め方は,課題管理表の活用もよい。一つの提案としては,この管理表をあくまでも課題管理用ではなく,課題抽出用として使うことである。いろいろな日常の話題の中から共通の課題だと思われることを自由に書き込むようにする。この管理表で,実行については一切決めないようにしておく。実行を決めるのは,「重要度」×「緊急度」を見極めた上で,事業計画などに盛り込む方が確実に進む。事業計画のように,重要な仕事を抽出して,それを具体的施策として,リソースをきっちり決め進めるやり方にするのが一番よい。これでPDCAを廻すようにするのが,確実な方法である。リソースも考えず,意気込みだけでは共通課題の解決はできない。あなたの職場に共通する課題を抱えていませんか?
共通課題が上手く解決できていますか?
[Reported by H.Nishimura 2008.09.22]
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