■新事業年度 (No.061)
4月から新事業年度がスタートする会社が多い。そこで,新事業年度に関する話題を拾い上げて見よう。
新しい組織のスタート事業年度が変わる機会に,新組織が発足することがある。組織は会社の大きなビジョンや目標を実現させるために,具体的な活動を進める集合体で,それぞれがその役割を明確にされた形で発足している。組織である以上,そこには組織全体の責任者,リーダが存在し,そのリーダの指揮命令に従って活動が開始される。規模によっても違うが,10人以上の組織になれば,必ずリーダとなる責任者が,組織のミッションを明確にして,どんな目標に向けて活動を展開するか方針を述べ,全員に徹底を図ることになる。それをせず,みんなが判った振りをしていると,後で組織として動きが取れず,ばらばらの組織になってしまうケースもある。最初が肝心である。
新しい組織でなくても,事業年度が変わる度に,○○年度の方針,などと云った方向付けが為される組織が多いはずである。これらは,メンバー全員の気持ちを新たに引き締める意味でも有意義なことである。
事業計画事業年度の活動目標を定めた事業計画が作られているはずである。そんなもの作っていない,と云った組織があれば,すぐさまリーダを中心に,或いはリーダ単独ででも,事業計画なる,行動指針を作るべきである。これが組織活動の全てであり,適当に仕事をすれば良い等と云ったいい加減な組織であれば,会社全体の衰退も早いと言わざるを得ない。
会社にあって,事業計画とは,それぞれの組織の役割を果たすために,具体的な活動内容を決めたもので,これがすべての組織に作られていて,会社の事業目標が達成できるようになっていなければならない。それほど重要なものなのである。小さな会社では,社長の一声がすべて,というところもあるかもしれないが,これでは社員全員が受身の姿勢で,決して新しいアイディアの発想や新しいチャレンジが行われることはないだろう。
事業計画は形式的なものであってはならない。各部門の事業計画があれば,それが各プロジェクト,或いは各人の活動とリンクしていなければならない。つまり,計画そのものはトップダウン的に降りていくものであるが,実際の個々の活動は,ボトムアップ的に積み上げられ,計画が着実に行われていく姿になっていなければならない。こうした一連の活動展開がどれだけスムーズに行われているかによって,その部門の組織の良さが判るし,成果も違ってくる。メンバー自身が,計画を見て,これはとても達成見込みがないと見なすような計画になってはいないか。高い目標を掲げることも必要であるが,それもほどほどである。メンバーが確信を持てる事業計画であるべきである。
新入社員電車などでリクルートスーツを着た新入社員を見かける季節である。昨今は,接客業で無い場合,スーツ姿で通勤する若者も随分少なくなった。製造業など,昔の会社出勤風景とは随分変わってしまった。大半がラフなスタイルで入出門する40代までの世代,さすが,40代後半から50代には,そうした人は少ない。さらには派遣社員の増加で,サラリーマンのスタイルがすっかり変わってしまった。新入社員のリクルートスーツ姿はやはり初々しい。社会人としてのスタートは誰にとっても嬉しいものである。夢と希望に溢れた若者そのものである。昔の諺に「初心忘るべからず」と云うのがある。つまり,初心に感じたことを,徹底してやり抜くことが,問題の解決にも繋がるし,大きな目標に到達できる近道でもある。昨今は,大きな夢も持たずに入社しているものも多いと聞く。確かに,高度成長期と違い,行く先の難関は以前と比較に及ばないほど困難になっていることは事実である。しかし,若い間に夢を持たずにいつ夢を持つのだろうと問いたくなる。
彼らが,将来の日本を支えてくれるのかと思うと,少々頼りない部分はあるが,それでもフレッシュさとエネルギッシュな部分は違う。全員が,日本の将来のために大きく育って欲しいものである。そのためには,既に社会人の先輩として指導的立場にある人が,上手く大きく育つようにしてあげて欲しいものである。
異動サラリーマンに異動はつきものである。職場を変わることは良くあることであり,時には職種までも変わることさえある。この4月はそれが最も多い季節である。新たな事業年度を新たなメンバー構成で迎えることになる。特に,異動してきた人にとっての新職場は不安なものである。今まで築いてきた土台がすっかり無くなった境地である。新入社員の心境にも似た気持ちである。異動したからには,新天地で頑張って欲しいと言う思いが会社側にあることは事実である。それをすんなり自分に受け容れているか否かは,その動機付けや周りの環境にも大きく左右される。通常は本人にとっては不安が一杯である。例え,会社側が異動による新天地での活躍を期待していても同じである。自分から進んで希望していたならば不安は殆ど無いかも知れないが,一般的には仕事上での命令である。
異動は見方によっては大きなチャンスでもある。会社としてその人の能力が発揮できないような職場へ追いやることは,まずはない。なぜならば,会社として一人とはいえ,損失である。少なくとも,今の職場より能力を発揮してもらうための異動である。それがベテランであっても,マンネリ化を防いだりや新しいことへのチャレンジを促すきっかけにしたい場合が多い。人間は慣れてしまったり,飽和してしまったりすると能力はそれ以上上がらず,むしろ低下の傾向に向かう。しかし,異動によってこうしたことが防げるのである。もちろん,そればかりではなく,会社として次の若手を育てたいとの思惑もある。いずれにしろ,否定的に取らず,前向きに捉えることが良い方向に向かうには間違いない。
新しいことは良いことである。フレッシュな気持ちを大切にしよう。
[Reported by H.Nishimura 2008.04.14]
Copyright (C)2008 Hitoshi Nishimura