■データの氾濫 (No.038)

我々の周りにはいろいろなデータが氾濫している。インターネットや携帯電話でメールに入ってくるイタズラメールなどはその典型である。いとも簡単にこうしたデータが流せる時代になり,アクセスが集中して業務に支障を来たしているケースも聞く。インターネットで調べてみても,データの氾濫が問題視されている。

しかし,会社で仕事をする場合,パソコンに向かって業務をするケースが圧倒的に増えてきている。それと同時に,あたかも仕事をしている振りができるようにもなってきており,仕事中にメールなどをチェックする,或いは書いている時間も,無視できなくなってきている。もちろん,仕事以外のメールをしていることは問題外だが,仕事でのメールが結構重くなっていることに案外気づかれていない。電話と違って,受け手の仕事が中断されることなく,効率的に伝達できるメリットはあるとは言うものの,必要以上のメールは公害でもある。日に数件ならともかく,数十件を扱う人はざらに居るような時代である。

情報共有の名の下に,みんなにメールを閲覧させることを会社のルールにしているところもある。確かに,情報は共有されるかも知れないが,そのメリットより,要らない情報まで回ってくる弊害が多いようにも感じている。何でも情報共有としているのは,その組織が責任者をもとに十分機能していない証拠でもある。本当は,必要な情報が,必要な人に,必要なタイミングで伝わることである。情報共有を言うならば,共通のサーバーやホームページを使って,必要な人が閲覧できるようにした方が余程効率的であり,有効である。それができないのは,組織的に未熟か,アメーバーのように混沌とした統一の取れていない組織ではないだろうか。

情報がたくさんあることが有効な判断材料になるとの見方もあるが,実はそうではない。必要な最小限の情報だけがあることの方がベターなのである。或いは,多少情報が欠落していても,真に重要な情報の欠落で無い限り,正しい判断はできるし,情報が少ないから判断できない,と云う上司がいたら,それは上司としての役割を果たしていないことである。すべてが判ったら判断の必要はないのである。上司は要らないのである。しかし,あれこれ要らないと思われる情報まで知っていないと気が済まない上司もいる。性格的なものかもしれない。

以上のような現状を踏まえて,データを正しく扱うにはどうすればよいかを考えると次のようなことが云える。

@ 不必要な情報は流さない(送信者は情報のつもりでも,受信者はデータ)
A 誰もが必要な情報は決められたサーバ上のフォルダーに置き,欲しい人が欲しいタイミングで見に行く
B メールでのやりとりは便利だが,大きなロスの要因にもなる
   (典型的なものはいたずらメール。仕事上は少ないと思っているがそうではない)
   (重いファイルは、通信の障害にもなる)
C 創造的な仕事,考える仕事にどれだけ時間を費やしているか(付加価値を生む)!!
   ・メールを1日何通処理していますか?
   ・本来の仕事から外れた部分も多いのでは?

また,インターネットで「データの氾濫」で検索すると,次のようなものが出てきたので,参考に紹介する。

1.付加価値があるか?

氾濫する情報,データの洪水の中で,人々は「本当に大事なものは何か」を見つけにくくなっているように思える。情報やデータは細分化されるほど,よりスピーディに,より直接的に訴えられるというメリットがあり,現在の社会は,誰もが,より新しく,より細かく差異化した情報やデータを競って提供する,あるいは求める,というとめどない消耗戦を戦っているようにも見える。本来,人々が求めているのは情報やデータが生み出す知識であり,そうした知識がもたらす生活価値のはずである。したがって,いま企業に必要なのは,情報やデータを相互に関連づけ,現実の中で価値を生む知識へと変換し,生活者の内面深くに届けていくことではないでしょうか。

2.検索エンジンが必要なわけ?

まず,近年インターネットなどの技術の進歩によって大量のテキストデータの氾濫が問題視され,その結果検索エンジンが普及し,必要と思われるテキストを検索することはできるようになってきた。しかし,現在の検索エンジンは,必要と思われるテキストを大量にとってくるだけで,そこから情報を取得するのは結局ユーザの努力に任かされてしまっている。

3.情報検索としての課題には?

@ 多種多様な保存フォーマットと保管場所の分散 : 多様な形式で作成され,個別に保管されてきた社内のドキュメント類。さらには,データ ベース上にあるさまざまな情報。必要な時にほしい情報をすぐに探すことが難しい。
A 人が持つ経験やノウハウも情報資産。でも探せない。 : 専門知識や経験を持つ社員を探したくても,なかなか見つからない。
これまでの検索システムでは,データ化されていない情報は探すことすらできない。
B 格納場所ごとにバラバラの検索 : システムごとに,異なる検索機能の使い分け。その上,得られた検索結果の数々から適切な情報を取り出すのがさらに大変。
C 検索がセキュリティ ホールになる危惧 : 検索結果一覧に機密情報のドキュメント タイトルが表示されてしまったら...。 閲覧権限がなくても,これでは情報漏えいです。

4.結果的に

ビジネスに成功をもたらす最重要の経営資源は「社員」である。技術革新から新製品を生み出し,顧客との関係を維持・成長させ,他社とのパートナーシップを構築し,より高い価値を生み出すのは,ほかでもない「社員」の力なのである。しかし,企業の取り扱う情報量が急激に増えつつある今,日々の業務に当たる社員にとって,情報検索が重荷となっている。
そこで,検索エンジンなどで得られる大量のテキストデータからユーザが情報を取得するのを支援する技術として,人間が情報を効率的に入手できるよう,「わかりやすく」情報を提示する技術が研究されている。その典型的な例には, テキストを要約してユーザに見せるというのがある。

 

つまり,現代は「データ氾濫」の時代である。少なくともインターネットが普及する前,ネットワークがそれほど太い回線で繋がっていなかった1990年代,いや少なくとも20世紀までは,これほどデータが氾濫する状態ではなかったと記憶している。パソコンが仕事のツールとして一人一台になった21世紀から,データが急増,幾何級数的に増加してきている。ハードな紙で管理している時代は,物理的なスペースが必要だったし,オリジナル(原紙)があれば,それを保管して,コピーは廃棄できた。ところが,ソフトでドキュメント化されたものは,物理的スペースは取らないし,オリジナルからいとも容易にコピーができ,それがコピーか,オリジナルか判らなく(厳密には判別できるが)なってしまう。同じモノが氾濫する。

ネットワークの回線の太さもデータ氾濫に輪を掛けている。当初は,メールの容量にも制限があり,1MB以下だった。だんだん,電話回線から,光回線のネットワークになり,殆ど制限がなくなってきている。また,会社の仕事ではイントラでネットワーク回線が作られているので,容量の大きさを気にしている人は少なくなった。便利になったと云えるが,一方でデータ氾濫につながっているのである。2度と使わないファイルがフォルダーに保存され続ける。サーバーの容量がすぐにパンクする現象があちこちで見受けられる。パソコンの無かった時代,パソコンの出始めた時代,そして現代を知っている者にとって,「データ氾濫」は本当に奇妙な現象である。

 

あなたの会社には,情報が整理された状態で保管されていますか?

情報のつもりで,データ(二度と使わない)を大事に保管していませんか?

データ容量の大きさに無頓着ではありませんか?

 

[Reported by H.Nishimura 2007.10.22]


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